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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リフレ政策の危うさは規律喪失にある
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第86回】 2012年12月26日
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 安倍晋三首相の提唱するリフレ政策の先にあるものには、危なさを感じる。金融関係者の間でも、そう感じている人が少なくない。

 「リフレ」という目新しいラベルが貼られているが、その内容は金融緩和と財政拡張を推進させるものである。今までは、財政拡張も日銀の国債買取りも、もはや後戻りができなくなることを警戒して慎重に進んできた。その慎重姿勢が転換されると、政府債務は発散経路へと向かう危険が高まる。

 すでに、知らず知らずのうちに大胆な財政拡張・国債買取りが行なわれていることを指摘したい。11月15日から衆議院選挙が本格化して、日銀は独立性を担保している日銀法改正を意識させられた。

 そして12月20日に、政策決定会合で国債買取りをさらに10兆円積み増すことを決めた。この決定は、日銀が法改正をされたくないので、妥協の産物として受け入れた措置である。

 次に財政政策はどうか。安倍首相は、2014年4月の消費税引上げを、半年前の2013年秋の景気情勢を見て判断するという。このメッセージは、先の日銀法と同じように、政府が大型補正予算を決める有力な材料になっている。

 詳しく言えば、政府は2013年4-6月の実質GDP成長率を高められなければ、消費税増税を政治主導で断念することがあり得ると警戒する。現時点では、44兆円を超える財政赤字の拡大を厭わずに、補正予算を膨らませることが検討されている。これも、消費税増税が材料にされなければ実施されなかった決断だと言える。

 安倍首相は、したたかに金融・財政拡張を動かすカードを使いながら、強固な金融・財政の規律のガードをこじ開けようという挑戦を行っている。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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