日中関係が大きく揺れているため、日本を訪れる中国人観光客が激減している。しかし、暦はそんなこととは関係なしにいつものスピードで進んでいる。中国では元旦と2月上旬に迎える春節(旧正月)といった大型連休が日に日に近づいてくる。年末ボーナスの支給額も話題になり、中国各地では連休を利用しての海外旅行に対する関心が高まっている。
例年だと、身近にあり、雪景色の温泉もある日本も結構いい選択肢だったのに、今の日中間のムードでは日本行きを選んでいいのか躊躇する人が多いようだ。しかし、冬の中国だと、人気を集められる観光地が限られてしまうし、暖かい海南島は評判が悪いので敬遠される傾向にある。そうなると、目は自然と海外のほかの観光地に向かう。乾季で暖かいタイも魅力的な目的地として人気を集めている。
大型連休に焦点を当て
集中攻勢を仕掛ける米国
その大型連休に焦点を当て集中攻勢を仕掛ける国もある。飛行機の移動時間が十数時間もあるアメリカだ。最近、タイに負けないほどその魅力をあの手この手でアピールしている。
アメリカの中国語紙「世界日報」によれば、今年、元旦や春節をアメリカで過ごす中国人観光客向けツアーの内容は、一段とアメリカ色の強いものになっている、という。これまでのようにディズニーランドでの年越しといったことではもう満足できない観光客も少なくなく、旅行業者は航空母艦での年越しディナーや、クルージング、NBA(バスケットボール)観戦、パサデナでのローズパレードなどといった行程を増やして、観光客を引き付けようと考えている。
今年の9月に、旧ソ連製の未完成の空母「ワリヤーグ」を購入して、国産の推進システムなどを取り付けるなどして改修した中国初の空母「遼寧号」が海軍に正式に就役し、艦載機の離発着テストも成功したばかりだ。それで否応なく中国国内では空前の空母ブームが巻き起こった。