「社内プレゼン」は、ビジネスパーソンにとって必須のスキルです。どんなによいアイデアがあっても、組織的な「GOサイン」を得なければ一歩も前に進めることができません。そのためには、説得力のあるプレゼンによって決裁者を説得する技術が不可欠なのです。
そこで役立つのが、ソフトバンク在籍時に孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取り、独立後、1000社を超える企業で採用された前田鎌利氏の著書『完全版 社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)です。
本書では、孫正義氏をはじめ超一流の経営者を相手に培ってきた「プレゼン資料」の作成ノウハウを、スライド実例を豊富に掲載しながら手取り足取り教えてくれます。読者からは「大事なプレゼンでOKを勝ち取ることができた」「プレゼンに対する苦手意識を克服できた」「効果的なプレゼン資料を短時間で作れるようになった」といった声が多数寄せられています。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、プレゼン資料を作成するうえで必要な公的データをネット検索で探すときの「賢いやり方」について解説します。

ネットで「データ」を探すとき、“できる人”は「キーワード検索」ではなく「画像検索」を使う写真はイメージです。Photo: Adobe Stock

「1年以内の期間指定」で検索する

 社内プレゼンにおいて、最大の武器となるのが「データ(数字)」です。

 いかに良質なデータを集めて決裁者を説得するか。これが、採否を決定づけるのです。だから、自社で得たデータや調査結果だけでは決め手にかけるときや、自ら調査してデータをつくり出す時間や予算がないときは、なんとかして社外からデータを集めなければなりません。

 そこで重要になるのが、インターネットの検索スキルです。短時間で効率よく、的確なデータを探し出す能力を磨く必要があるのです。私の実感では、このデータ検索の巧拙がプレゼン資料の作成に費やす時間を大きく左右します。

 また、オンライン・プレゼンでは、その場で検索して詳細資料を提示することも可能になります。つまり、検索スキルの向上が「プレゼン力」により直結するようになったということ。簡単なコツですから、ぜひ、すぐにも実践してください。

 データ検索のコツは2つです。

 まず、重要なのが「期間指定で検索する」こと。なぜなら、プレゼンで必要なのは最新データだからです。ビジネスにおいて1年以上前のデータは古い。「昔の話でしょ?」と相手にしてもらえません。ですから、少なくとも「1年以内」の期間指定をして検索をします。期間指定をかけることで、検索されるサイトの数も絞り込まれますから、最適なデータを探し出すことも容易になります。

 期間検索の方法は次のとおり。Googleの検索窓の真下にある「ツール」をクリック(図1参照)。すると、「期間指定なし」というタブが出てくるので、これを「1年以内」に設定し直します。さらに直近のデータに絞りたいときには、「1ヵ月以内」「1週間以内」と設定すればOKです。

データは「画像」としてネット上に存在している

 第2のコツは、画像で検索することです。

 なぜなら、グラフや表は「画像」としてインターネット上に存在しているからです。テキスト検索をしてからデータを探すよりも、画像検索のほうが求めているデータにたどり着くスピードが圧倒的に速いのです。

 やり方は簡単。

 たとえば、「富士山 登山者数」というキーワードで検索すると、図1のような検索結果が表示されます。「1年以内」と期間指定したうえで、検索窓の真下にある「画像」をクリック。すると、ウェブページのなかに含まれている写真やイラスト、グラフなど画像だけを一覧表示した画面に切り替わります(図2参照)。

 そのなかで、資料として使いたいグラフを見つたらクリックし、「ページを表示」から当該サイトに飛びます。そのサイトが信頼できるものかどうかを確認したうえで、問題がなさそうであれば、グラフをコピー&ペーストでスライドに載せます(本編スライドであれば、もちろん編集します)。

 画像検索の利点は、海外サイトからも容易にデータをピックアップできることです。グローバルスタンダードを知りたい、海外の競合の動向を調べたいという場合、外国語が得意な人は外国語のサイトを容易に読みこなすことができるでしょう。しかし、そうでない人は、どうすれば欲しいデータにたどり着けるか途方に暮れるはずです。

 しかし、画像検索であれば、その心配はほとんどありません。たとえば、「mountain heights」というキーワードで画像検索をすると、図3のような画面が表示されます。このようにビジュアルで表現されたグラフや表であれば、外国語が苦手でも辞書を片手に理解することができるでしょう。画像検索をすれば、世界中から適切なデータを探し出すことも容易になるのです。

 なお、情報の精度には十分に注意するようにしてください。

 まず、検索して見つけたデータを使用する際には、必ず出典を確かめるようにしてください(権利関係に留意するのも当然のことです)。

 たとえば、同種のデータが複数あるときには、公的機関のデータは信憑性が高いので優先的に使用すべきでしょう。民間のデータしかない場合には、大手リサーチ会社などの信頼性のある企業のデータを使ったほうが安心です。

 また、同種のデータであっても、一部の地域に限定したデータよりも、全国規模のデータの方が、サンプル数が多いため説得力が増すでしょう。もちろん、地域限定の施策を検討する場合には、その地域限定のデータを使用したほうがいいケースもあります。要するに、使用目的に応じて最も適切なデータを選ぶことを意識することが大切だということです。

(本稿は、『完全版 社内プレゼンの資料作成術』より一部を抜粋・編集したものです)