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三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

処方箋(2)農産物輸出によって
いかにアジア富裕層を攻略するか

三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]
【第3回】 2013年1月9日
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日本の農産物は海外で高く評価されており、農産物輸出拡大の機運が高まっている。農産物輸出は新たな収益源として期待されるが、一方で輸出可能な量・額は農業全体のごくわずかであり、日本農業再生への効果は限定的である。農産物輸出は突破口と割り切り、その後いかにジャパンブランドを構築していくかが成否を分ける。

輸出は日本農業の
救世主になれるのか?

 国内農業の再生やTPP(環太平洋経済連携協定)への対応において、農産物(農林水産物)の海外輸出が注目されている。国内マーケットが縮小していく中、新たな成長源を海外の成長マーケットに求めよう、という考え方だ。すでに国内各地から農産物が輸出されており、現地の消費者から高い評価を得ているものも多い。農産物の輸出は、日本の農業に新たな収入をもたらし、良い刺激を与えることは間違いない。

 一方で、日本農業再生のすべてを、農産物輸出に求めるのは荷が重すぎる。TPPの議論において、貿易自由化により輸出が拡大するので日本農業にとってマイナスではない、との意見がみられるが、これは量的なバランスを欠いており非現実的だ。

 農産物輸出は日本農業再生のトリガー(引き金)だが、決して万能薬ではない、という理解が重要である。この前提を踏まえ、今回は輸出ビジネスについて解説する。

中国ではリンゴが1個1000円!
評価の高い日本産農産物

 海外旅行・出張された方の多くが感じるはずだが、日本の農産物は圧倒的に美味しい。生野菜・温野菜といったシンプルな食べ方で、日本の農産物よりも美味しいものに出会うことはほとんどない。また、安全・安心の面でも信頼感が高い。

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三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]

(みわ・やすふみ)東京大学農学部国際開発農学専修卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。現在、株式会社日本総合研究所創発戦略センター主任研究員、グローバル農業チームリーダー。農産物のブランド化に関するベンチャー企業の立上げに参画。主な著書に『グローバル農業ビジネス』、『次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。


三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

日本の農産物は、世界最高水準の美味しさ・安全性を誇る。一方で、日本農業は低迷が続く斜陽産業とも言われる。つまり、日本農業は大きなポテンシャルがありながらも、それを十分に活かせていない状況に置かれていると言えよう。日本農業の復活のためには、自立した「儲かる農業モデル」の構築が求められる。成功のポイントは、アジア等の成長マーケットを視野に入れたグローバルなビジネスモデルと、それを実現するための先進的な農業技術・ノウハウの2つだ。本連載では、農業ビジネスに携わるシンクタンク研究員である筆者が、世界で経験した具体例を交え、いかにして「儲かる農業モデル」を作り上げていくかを解説する。

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