「聞き手が退屈するプレゼン」に欠けている工夫

 いま、オンラインプレゼンが主流になっています。ぜひ、リモートのプレゼンでは「時間のデザイン」にこだわってください。

 僕がお薦めしているのは、「提案プレゼン3分+ディスカッション10分+相手の意思決定2分」という構成です。

 初めから一方的に話し続けると、聞き手はすぐに飽きます。なので、相手が退屈しないように、説明の本編をなるべく短くして、ディスカッションや質疑応答の時間を増やすのがポイントです。

 人間の集中力はだいたい15分しか持ちません。TV番組でも、15分ごとにCMが入ったり、前半と後半を分けたりしていますよね。オンラインプレゼンでも同じです。

 本編を短くして、ディスカッションと質疑応答の時間をきちんととれば、「あれも聞きたい、これも聞きたい」と質問がたくさん飛んできます。先ほど言ったように、聞かれたことに対して的確に答えてこそ、相手の信頼と安心を勝ち取れます。相手の疑問を解消できるように理論武装してください。

社外プレゼンで「自分ごと」にしてもらうには?

 社内とは違い、社外でのプレゼンは「アウェイ」の環境です。相手は赤の他人ですから、決裁を取るのは当然難しい。そこで大事なのは、相手の感情を動かす、つまり、「自分ごと」にしてもらうことです。

 そのために役立つ基本のテクニックをいくつかご紹介します。まずはフォントです。実は、フォントを工夫するだけでも印象はかなり変わります。たとえば、一番伝えたいキーメッセージは、太字にして視認性を高めましょう。それ以外のテキストは、メリハリをつけるために細くしてください。

 また、あえて横線の細い明朝体を使うと、ネガティブなニュアンスや真剣味、緊張感が演出できます。逆に、安定感のある雰囲気を出すには、縦と横の線が均一なゴシック体にして、文字を大きく見せるのが有効です。

 色づかいも重要です。一般的に青色はポジティブな印象があるので、たとえば「カラーの背景+青字+ゴシック」にすると安心感を表現できます。一方で、赤色はネガティブなイメージを想起させますから、「モノクロ背景+赤字+明朝」にすると危機感を与えられます。

 あとは、ビジュアルの配置。原則は「左に写真、右にテキスト」です。これは、脳の仕組みに連動しています。

 向かって左側から入ってくる情報は右脳が、右側からの情報は左脳側でジャッジします。ですので、写真を右脳の感覚野が、テキストを左脳の言語野で処理すると、パッと頭に入ってくる。これが逆だと、違和感を覚えてしまうんです。(後編に続く)

(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『【完全版】社外プレゼンの資料作成術』刊行記念セミナーのダイジェスト記事です。「The Salon」の公式Twitterはこちら