『プラウド・メアリー』『バッド・ムーン・ライジング』『雨を見たかい』など、一連の大ヒット曲で、1960年代末から70年代初頭にかけて世界中のヒットチャートを席巻したのがアメリカのロックバンド、「クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル」(CCR)である。彼らは52年前、クラシックの演奏会も開催する格式高い英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでコンサートを開いた。そのライブを丸ごと収録したCDが52年もの時を経て、2022年9月16日に初めて発売された。(コラムニスト 坪井賢一)

筆者はまさしく「呪文をかけられた」

「クリーデンス(信頼)・クリアウォーター(純水)・リヴァイヴァル(復活)」とは、大げさで奇妙で印象的なバンド名だが、異様に長いので、だいたいCCRという略称で呼ばれている。

 新発売されたライブ・アルバムの収録曲は以下のとおりである。

『クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル~ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール』

「クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル~ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール」1970年録音(発売2022年、ユニバーサル)「クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル~ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール」1970年録音(発売2022年、ユニバーサル)

 1 ボーン・オン・ザ・バイヨー
 2 グリーン・リヴァー
 3 墓石の影
 4 トラヴェリン・バンド
 5 フォーチュネイト・サン
 6 コモーション
 7 ミッドナイト・スペシャル
 8 バッド・ムーン・ライジング
 9 プラウド・メアリー
 10ザ・ナイト・タイム・イズ・ザ・ライト・タイム
 11グッド・ゴリー・ミス・モリー
 12キープ・オン・チューグリン

1970年4月14日、ロイヤル・アルバート・ホールにて収録
発売元ユニバーサル・ミュージック

 初めてCCRのシングル盤をレコード店の店頭で発見したのは1969年、中学3年生の冬だったと思う。A面が『I put a spell on you(アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー)』、B面が『Suzie Q(スージーQ)』だった。ジャケットはメンバー4人が並んだ写真で、ピンクと黒の2色刷りだ。

『I put a spell on you』は「呪文をかけちゃうぞ」といった意味だろうが、レコード店の店頭で聞かせてもらい、一発でノックアウトされた。「この曲はスクリーミン・ジェイ・ホーキンズのカバーで、R&Bの名作なんだ」と店のお兄さんが教えてくれた。12ビートの3連符に乗って、喉が張り裂けそうな高音のヴォーカルが叫びまくる。強烈なギターとヴォーカルに、筆者はまさしく「呪文をかけられた」。