新入試導入の「お茶大附属中」、半世紀近い自主研究の歴史校舎と同じくらいの高さに育ったケヤキの木が、附属中学校入り口横のシンボル

女子高等師範学校から始まったお茶の水女子大学は、関東大震災の後、東京メトロ茗荷谷駅に近い大塚キャンパスに移転した。幼稚園から小中高まで、附属校はすべて大学と同じ敷地内にある。いち早く実現した30人学級の少人数教育、長時間掛けて仕上げる自主研究など、共学校である附属中学校の特徴ある教育についてお話をうかがった。(ダイヤモンド社教育情報、撮影/平野晋子)

新入試導入の「お茶大附属中」、半世紀近い自主研究の歴史

相川京子(あいかわ・きょうこ)
お茶の水女子大学附属中学校校長

 

お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系(理学部化学科)教授。博士(薬学)。昭和大学薬学部薬学科卒業、お茶の水女子大学大学院理学研究科修士課程化学専攻と東京大学大学院薬学系研究科博士課程を修了。2016年教授、22年4月から附属中学校校長も兼務。

 

新入試導入の「お茶大附属中」、半世紀近い自主研究の歴史

佐々木善子(ささき・よしこ)
お茶の水女子大学附属中学校副校長

 

社会科教員。お茶の水女子大学文教育学部卒業、同大学院人文科学研究科修士課程修了。共著書に、『自分の好きを探究しよう!お茶の水女子大学附属中学校「自主研究」のすすめ』(明石書店)。

 

ハイレベルな附属中の授業

――相川校長は、今年4月から附属中学の校長に就任されました。大学から見た附属中学の印象はいかがでしょう。

相川 中学校では行事が多いこともあり、その準備や事後処理で先生方は大変にお忙しいと思います。大学のキャンパス内で見かける附属中の生徒は、礼儀正しく、制服姿が美しい印象で、校長就任後のいまもそれは変わりません。

 現在、全校朝礼や職員会議等で週2回程度、中学校と大学を行き来しており、各学年それぞれの学びの様子に理解を深めています。中高一貫校ではありませんので、附属中と附属高それぞれに校長はおり、附属高校長には理学部情報科学科の教授が当たっています。

――附属校の教員で桜蔭の教頭になられた方もいらっしゃいますね。あまり知られていないようなのですが、昔から教科書の執筆者が多く、非常にハイレベルの先生がいらっしゃる印象です。

佐々木 学習指導要領の改訂の際にも、いくつかの教科の教員が協力者として参加しています。

相川 専門の教育研究に熱心な教員が多く在籍しています。

――研究開発校の指定を受け、公開研究会も行っているようですね。

相川 はい、毎年10月に開催しており、今年は29日に行いました。

佐々木 公開研究会以外にも、授業研究会を頻繁に行っています。例えば、3年生対象の音楽の授業(50分)では、カスタネットを皆でたたき、4拍子や2拍子のリズムを自分たちで創作して、発表していました。

 家庭科では、アクションカメラGo Proで調理風景を写したりしながら授業を行っていました。

――新しい取り組みに積極的ですね。附属中はかなりの少人数教育だとうかがいました。

佐々木 一般生徒と帰国生徒の教育学級があります。1年生の4クラス(菊・蘭・竹・梅)のうち、竹組は帰国生徒のみ15人で構成され、2年生からは一般生徒と混合、名前も松組になります。2年生からはいずれも30人学級です。

――先生方の目も行き届きやすそうですね。

佐々木 生徒に対する口頭での連絡以外にも、保護者との通信手段に紙とメールも活用しています。先生方は本当によく一人一人の生徒を見ていると思います。生徒と先生の距離が近い感じがします。

相川 学校の教育活動について、適切なタイミングにメールで連絡を配信することは、保護者との連携を深める一環になると思います。

――中学生になると、親には何も言わなくなりますから、そういうのは本当にありがたい。