中国「潜在不良債権」は400兆円!習近平3選が不良債権問題に与える影響とはPhoto:Bloomberg/gettyimages

増加する潜在不良債権
中国全体でGDPの約17%

 中国では、(顕在化していない)潜在的な不良債権(潜在不良債権)が増加している。潜在不良債権とは、広義の営業キャッシュフローである利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)が支払利息を下回る企業が保有する債務を指す。こうした債務は、返済が滞る可能性の高い債権と見なされている。

 上海、深セン、北京の各証券取引所に上場する企業(非金融企業)のうち、財務データの入手が可能な約3800社を対象に試算すると、2022年央の潜在不良債権は、1兆6854億元(約34兆円)、潜在不良債権比率は9.6%に達している(図表1)。

 潜在不良債権がとくに大きく上昇したのが2020年と2021年である。両年は、新型コロナの感染が拡大した時期であり、新型コロナを契機に潜在不良債権が急速に増加したといえる。

 このサンプルデータを基に、中国全体の潜在不良債権を試算すると、2022年央で19.7兆元(約400兆円)となる。これはGDPの16.9%に相当する規模であり、不良債権が中国経済の重しになっていることが読み取れる。