ビジネスで結果を出す人は、自分なりの「妄想」を手なづけ、圧倒的なインパクトを生み出している──。その具体的手法を解説した『直感と論理をつなぐ思考法』という本が、各界のトップランナーたちに絶賛されている。「つねに根拠ばかりを求める世の中」や「論理ばかりに偏った考え方」に違和感を抱く人は、共感する部分もかなり多いはずだ。元サッカー日本代表監督・岡田武史氏も称賛コメントを寄せている同書の一部を抜粋・編集してお届けする。

【やってはいけない】「発想がつまらない人」に共通する心のクセPhoto: Adobe Stock

「他人モード」にジャックされた脳を抜け出す

「仕事はうまくいっているけれど、なんとなくモヤモヤする。
 でも、どこに不満があるのかもよくわからない……」

 こういう悩みを抱く人は少なくない。

 これは周りの期待に応えて、他者ばかりに思考リソースを振り向けているうちに「自分モード」への切り替えスイッチを見失ってしまっている状態だ。

 毎朝だいたい決まった時間に会社に出かけ、GoogleCalenderや手帳で次の予定をチェックしながら、会議やアポイントメントに臨む。それ以外の時間で、頼まれた書類を作成したり、経費精算の処理を済ませたりする。合間には、TwitterやInstagramを投稿したり、「いいね!」をチェックしたりする。そこで出てきた話題を友人と話す──。

 これらはいずれも、人から受け取った情報に反応する「他人モード」の行動だ。ふつうに生きていると、僕たちの脳はずっと「他人モード」になっており、「自分がどう感じるか」よりも、「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている。

 逆に、日常のなかで、「自分モード」と呼べる時間は、かなり少ないのではないかと思う。

「自分モード」のスイッチを切ったまま日々を過ごしていると、僕たちは「何がしたいのか」を思い出せなくなる。「君はどう思う?」と意見を求められても、そもそも「自分がどう思うのか」すら、よくわからなくなる。

最初は「つまらない妄想」から
はじめたほうがいい

「自分モード」で思考するための手法については、本書のなかでかなり詳細に解説してきた。

 しかし他方で、これを実践に移そうとする場合、内省的な人の多くは、おそらく次のような心の声を聞くことになるはずだ。

「この妄想を面白いと思うのは、やっぱり自分だけなのでは……」
「こんなアイデア、ほかの誰かがもう考えついていそうだな……」
「新しさも独創性もない。やっぱり発想のセンスがないなあ……」

 僕は「従来と“真逆の順序で”発想すること」をおすすめしてきたが、その発想が「新しいか」とか「独創的か」といったことは、あえて不問に付してきた。その領域は読者のみなさんにお任せし、とにかく「妄想ベースで考える」とはどういうことなのかを、少しでもつかんでいただくことを優先したかったからだ。

 だから、現段階のアイデアに自信が持てなくても、そのことを気に病む必要はない。

 最初からすばらしいアイデアを引き出せる人は、世の中にごくひと握りしかいないし、時代を変えるイノベーションですら、誰でもすぐに思いつくような陳腐な着想からスタートしていることも珍しくない。

アイデアは「出してから」が勝負

 何を隠そう、僕自身もP&G時代には1時間のブレストで3つしかアイデアを出せなかったという原点がある。

 それでもいま、僕が戦略デザインファームを運営できているのは、アイデアは「出してからどう磨き上げるかが勝負。そして、それには方法論が存在する」ということを学んだからだ。

 大切なのは、ファーストステップでいきなり質の高いアイデアを出すセンスよりも、一定のプロセスを経てアイデアを丁寧に磨いていく技術なのである。

 だから、せっかく出てきたアイデアを「どうせこんな妄想……」と打ち捨てないでほしい。

 99%の凡人(とくに僕のようなもともと頭が固い左脳型の人)にとっては、「ひらめきはどこかからいきなり降りてくる」というのは幻想だ。

 むしろ、「凡庸なアイデアに見えるものにこそ、宝が眠っている」と気づくことから、すべてがはじまるように思う。

(本原稿は、佐宗邦威著『直感と論理をつなぐ思考法』からの抜粋に編集を加えたものです)