開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。

子どもの国語力低下の原因は「形容詞もどき」、親子のLINEで国語力の差は広がるPhoto: Adobe Stock

主語述語で構成する作文が苦手

 今の子どもたちは、文章を読まないだけでなく、書けなくなっています。コロナ禍で先生たちのやることが増え、手間をかけて文章の書き方を教えるという授業がなかなかできなくなっているのもありますが、SNSやスマホの普及が最大の原因でしょう。

 そもそも、たいていの文章は、誰かになにかを伝えるために書かれます。昔のお詫び状やラブレターなどその典型でしょう。

 ところが今は、自分が置かれた状況や、自分の気持ちなどについて、細かく表現しなくても済むツールがたくさんあります。

 たとえば、美味しそうなパフェを前にニコニコしている写真をSNSにアップすれば、文字は1行も書かなくてもだいたいのことは伝わります。文字が書かれていたとしても、「ヤバい」とか「エモい」という、感想の「形容詞もどき」がほとんどです。

 こうした形容詞もどきで会話をつなぐことに慣れてしまった今の子どもたちは、主語と述語で構成された文章を書くことがとても下手になっているのです。

親子のLINEで子どもの国語力に差がつく

 VAMOSでは、ある写真を見せ「この状況を5行くらいの文章で説明して」という練習を低学年を中心に行いますが、まともに書ける子は限られています。写真の内容は、実に簡単なものです。たとえば「スーパーで店員が惣菜に割引シールを貼っている」とか「白バイの警察官が道の脇に止まった車の中を覗いている」といったレベルです。

 子どもたちは、その写真を見て状況はわかってはいるけれど、「○○が、××をしている。」という主語と述語を用いて書くことができないのです。

 これはかなりの大問題。短い流行語も、友だち同士のノリとしてはいいのでしょう。一方で、どこかできちんとした文章を紡ぐ場を持たないと、本当に国語力のない子どもに育ってしまいます。

 家族でラインを送り合うときなども、スタンプや感想だけで済ませず、主語と述語のある文章を使うように心がけてください。

会話のレベルを子どもに合わせない

 つい親は、子どもに合わせて言葉を選びますが、それでも兄や姉がいれば上の子が基準になり、下の子は上の子のレベルに引き上げられます。しかし、ひとりっ子や第一子の場合、親がその子に合わせてしまうので、どうしても語彙が貧弱になりがちです。とくに、難しい漢字ことわざ四字熟語などの分野に弱い傾向にあります。

 親は、まずそのことを認識し、できる限り、そうした学習を増やす工夫をしましょう。ことわざや四字熟語を幼い子どもが一人で学ぶのは大変ですから、カードをつくってゲーム化するなど、楽しんで覚えられるようにするといいでしょう

 加えて、会話のレベルを子どもに合わせないようにすることが重要です。自然にボキャブラリーが増えるのを待つのではなく、ボキャブラリーを増やす努力をしていきましょう。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)