前回は「国公立100大学合格力」による全国高校ランキングをお届けした。今回は「難関私立大学合格力」である。対象となる大学が首都圏に多いため、“西高東低”の国公立とは反対に“東高西低”となる。2022年のベスト50は1校を除き首都圏で占められ、私立と國公立が26校と24校で拮抗しているのも特徴だろう。(ダイヤモンド社教育情報)

ベスト3は女子中高一貫校が独占

 前回お届けした「国公立100大学合格力」による全国高校ランキングは、コロナ禍と大学入学共通テストという二つの要因によって、ランク変動が激しく、ベスト50の半数弱が入れ替わった。「難関私立大学合格力」による全国高校ランキングの変動は少し穏やかで、2割に当たる10校が入れ替わっている。

 私立大の場合は、複数の大学を受験でき、同一大学でも複数の合格を得ることができるため、「難関私立大学合格力」はのべ合格者数で測ることになる。それが国公立大の併願先で進学する可能性が低くても、対象となる14大学で多くの合格を勝ち取ることがランキング上位に入るための条件となる。

 私大の両雄である早稲田大と慶應義塾大、それに上智大と東京理科大を加えた「早慶上理」、それを追う「MARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)」、関西の「関関同立(関西学院大・関西大・同志社大・立命館大)」、名古屋からは南山大がその対象となっている。

 2022年のベスト3は、私立の女子中高一貫校が独占した。1位は2年連続で頌栄女子学院(東京・港区)となった。昨年5位から2位にランクアップした洗足学園(川崎市高津区)ともども、多く帰国生が在籍している。洗足学園の場合は、22年には東大20人合格という快挙を成し遂げ、6位のフェリス女学院(横浜市西区)と並ぶ神奈川の女子中高一貫校では最難関校の双璧となった。3位に戻った女子学院(東京・千代田区)、10位鴎友学園女子(東京・世田谷区)も合わせれば、ベスト10の半分は女子校となっている。

 男子の中高一貫校では、サレジオ学院(横浜市都筑区)が唯一、3年連続ベスト10で頑張っている。20年から22年の合格者数合計の推移を見ると、早慶上理は224人→253人→273人と順調に積み増し、MARCHは244人→203人→268人とV字回復している。

 21年6位だった攻玉社(東京・品川区)は13位となった。20年に1位だった世田谷学園(東京・世田谷区)は23位である。20年には4校がベスト10に入っていたが、22年は1校のみ。男子校がランクを維持することは、なかなかに困難なのである。

 公立高校では、青山(東京・渋谷区)が5位までランクを上げた。その立地も含めて女子人気の高い都立高で、MARCH合格者数合計がランクを引き上げた。他に、都立は西(杉並区)が、神奈川県立では湘南(藤沢市)が、千葉県立の中高一貫校では千葉(千葉市中央区)がベスト10に名を連ねている。いずれもベスト50の常連校である。21年2位に大躍進した都立小石川中等教育学校(文京区)は24位に、東大志向が強い都立日比谷(千代田区)は8位から20位に、同じく県立横浜翠嵐(横浜市神奈川区)は9位から29位へと、おおむね20年の水準に戻っている。

 こうした動きからうかがえるのは、初のコロナ禍と共通テスト初年とが重なった21年入試の特異性である。「国公立100大学合格力」で多く見られた20年から22年へのV字回復とは逆の、逆Vの字型の動きが公立校を中心に見られる。併願校数の減少など事情は各校でさまざまだろうが、21年入試は非一般選抜による20年内の合格確保の動きが強まった年であることも勘案した方がよいのかもしれない。