さまざまな「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じている。ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまう。そんな中、このコロナ禍に出版した著書『ストレスフリー超大全』では、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介している。「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫る。

【精神科医が教える】「後悔をまったくしない人」の考え方・ベスト1Photo: Adobe Stock

「コントロールできる領域」を明確にする

 何かに悩んだときに、「コントールできること」と「コントロールできないこと」を分けて考えるワークは有効です。

 今の不安をテーマに、「コントールできること、コントロールできないこと」のワークを行ってみましょう。

 不安の中身を詳細に言語化して、コントロールできることと、そうでないことに分けてみるのです。

 自分でコントロールできることが明確にできると、今何をすべきかが見えてきます

 たとえば、「健康にいい生活習慣」も、ある意味、不安が原動力になっているでしょう。

 あるいは、いつ死んでもいいように、「今」をエンジョイすることに考え方をシフトできるかもしれません。

 楽しいことを先延ばしせず、後悔しない1日を過ごす毎日、全力で生きる。それを日々、きちんと繰り返していれば、突然、死が訪れても後悔は感じません。

「今」にフォーカスし、不安を乗り越えるために、ぜひこのワークをやってみてください。

つねにベストコンディションにしておく

 不安は、心や脳が疲れていると起きやすいです。たとえば、うつ病の患者さんの多くは、「死」や「将来」に対して、過剰な恐怖を訴えます。しかし、治療が進んで調子がよくなると、まったくそういう話題はしなくなります。

 7時間以上の睡眠、週150分以上の運動、体にいい食事、朝散歩などの生活習慣を整えれば、不安はすっきりと消えます。逆に、睡眠不足や運動不足が続くと、ネガティブな感情は強まってしまいます。

 体調を整え、生活習慣を改善し、つねにベストコンディションでいることを目指しましょう。それが「今を生きる」ための必須条件でもあります。

「生」に感謝する

恐怖と感謝は共存しない。」―マイケル・ボルダック(世界No.1目標達成コーチ)

 オリンピックや世界大会などで、一流の選手たちは「試合前」にもファンや監督、コーチに感謝の言葉を述べます。なぜならば、心からの感謝の気持ちが、不安や恐怖を取り除いてくれるのを知っているからでしょう。

 人間の脳はマルチタスクができないので、不安と感謝は同時には成立しにくいです。心から感謝を語り、それに満たされると、不安は自然と外に追いやられて、やがて消えていきます。

 この記事を読んでいる、今、この瞬間、「生きている」ということはとても素晴らしいことです。

 さらに、もし健康な状態だとすれば、どんなに良いことでしょう。そのことへの感謝をするようにしましょう。もちろん、周囲で支えてくれる人にもです。心から感謝できるようになれば、いつ訪れるかわからない恐怖や不安は、さほど気にならなくなり、「今」を生きられます。

 そういう人は、決して後悔なんてものはせずに生きられるのです。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
コロナ禍に27万部のベストセラーとなった著書『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)のほか、シリーズ90万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)など30冊以上の著書がある。