さまざまな「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じている。ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまう。そんな中、このコロナ禍に出版した著書『ストレスフリー超大全』では、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介している。「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫る。

精神科医が教える「内向的な自分」を変える方法・ベスト1Photo: Adobe Stock

自分を変えるにはどうすればいいのか

 日本を含めた7ヶ国の若者を対象とした意識調査(平成25年度)によると、日本の若者のうち、「自分自身に満足している人」の割合は45.8%で、調査した7ヶ国中最低の数字でした。

 約半数の人たちは、自分自身に満足できず、なかでも「自分の性格や外見を変えたい」と思っている人は、非常に多いのです。

「性格を変える」のはキリがない

 結論からいうと、性格は変える必要はありません。精神医学的見地からいうと、3年くらい長期的に取り組めば性格を変えることは可能ですが、一朝一夕にはできません。「明日から生まれ変わろう」と思っても、その誓いが続かないことを想像してみれば明らかでしょう。

 また、「内気な性格を変えたい」と思って何年もかけて積極的で社交的な自分を演じ続けたとしても、今度は「別の欠点」が気になるはずです。欠点を直し続けると、無限連鎖にハマってしまいます。欠点や短所を直すことだけに終始し、一生が終わってしまいます

 たとえば、まぶたの二重の整形手術をした人は、次は鼻が気になりはじめ、鼻を手術します。その次は顎を手術したくなったりして、気に入らないところを手術し続けるのです。

 それと同様に、人は自分の性格について、完璧に満足することは決してありません

性格ではなく、行動を変える

 とはいえ、「内気で人と話せず、目を合わせることもできないし、ほとんど会話ができない」というレベルであれば、社会生活に支障をきたすので、直す必要があるでしょう。とっておきの方法は、「性格」を変えようとするのではなく、「行動」を変えればいいのです。

「内気な性格を変えたい」と思うのなら、職場に行ったときは、すれ違う人全員に笑顔で挨拶をしてみましょう

「目を合わせることなどできない」のであれば、目と目の間あたりを見るようにして挨拶をします。1週間でも続けると、周りからのあなたの印象はガラリと変わります。

 もちろん、あなたの内気な性格が、1週間で改善されることはありませんが、「行動」が変わることで、相手から好感を持たれるのです。周囲からの見方が変わるだけで問題は解決します。

「内向的な人」から「感じのいい人」のイメージに変わるだけですが、それで十分なのです。

長所伸展に集中する

 あなたのまわりの魅力的な人を観察してみましょう。「長所」が秀でているかもしれませんが、きっと欠点もいくつかあるはずです。

 長所が目立つと、他の小さな欠点は目に入らなくなります。人が人を好きになるとき、欠点があるかないかは気にならず、その人の長所を好きになるのです。男女関係、友人関係、職場でも同じです。

「短所がない人」が好かれるのではなく、「長所がある人」が好かれるのです。つまり、短所をいくら直しても人から好かれるようにはなりません。

 若い人は短所克服を重視しがちですが、年をとるほど長所伸展が大切と思うように変化します。年とともに、短所にこだわってもしょうがないことに気づくのです。

 短所克服のことを考えて悩むくらいなら、長所を伸ばすことに労力をかけましょう。

3行ポジティブ日記を書く

 自分の短所ではなく長所に目を向けるようにするためには、「ポジティブ思考」を鍛える必要があります。1日たった3分でできる「ポジティブ思考」を鍛える方法、それが「3行ポジティブ日記」です。

「3行ポジティブ日記」とは、1日の終わりに、今日あった楽しかったこと、ポジティブな出来事を3つ書く、という単純なワークです。たとえば、下記のようにその日感じたポジティブなことを書きます。

(1)昼、新しくオープンしたラーメン屋に行ったら、結構おいしかった。
(2)自分が提出した企画書が、意外と高く評価されてうれしかった。
(3)仕事が少し早く終わったので、ジムに行って気持ちのいい汗を流した。

 この日記は、寝る前15分以内に書いてください。寝る前は最も記憶に残りやすい「記憶のゴールデンタイム」で、1日をポジティブに振り返ることが、ポジティブ思考のトレーニングとなります。ネガティブな出来事は書かないように注意します。ネガティブ思考を誘発する出来事は、そのまま忘れればいいのです。

 そう言うと、「楽しいことが3つも思い浮かばない」と思うかもしれません。だからこそ、必死に思い出して絞り出すことが、ポジティブ思考のトレーニングになるのです。最初は「天気がよかった」「ランチがおいしかった」という程度でもOKで、できれば自分の行動、思考、感情で「うまくいったこと」が書けるとベストです。

 書けば書くほど効果的ですので、3つ以上なら何行でも、ポジティブなアウトプットは多ければ多いほどよいのです。

 この方法は、「認知行動療法」の基本的なワークをシンプルに実行しやすくしたものです。非常に効果の高いワークとして知られています。

 物事の「いい側面」に注目できるようになり、ポジティブ思考が鍛えられます。自分の短所よりも、長所にも目が向くようになり、自分の欠点やコンプレックスも気にならなくなるはずです。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
コロナ禍に27万部のベストセラーとなった著書『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)のほか、シリーズ90万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)など30冊以上の著書がある。