「学習バッジ」で変わる学びのかたち

 終身雇用が崩れ、大卒一括採用が見直されるようになり、ジョブ型雇用が注目されている。ジョブ型雇用では、「職務定義書」が交わされる。提示された報酬で指定された職務を担う人材を雇用するのだ。

 こうしたときに「学校歴」はどのくらいの意味があるのだろうか。どこの大学を出たかという「学校歴」よりも、何をどのように学んだかという「学習歴」を求められている。これはブロックチェーンによる「学習バッジ(オープンバッジ)」の発行で証明できるようになる。これは成績評価や認定の信頼が鍵になるものの、これまでの教育関係者の知見を集めれば、世界に胸を張る「学習バッジ」ができそうなものである。
 
 日本は、PISAの調査の結果でも示されているように「教育大国」である。学習歴とその内容、理解度などを求められたら、その“平均値”は世界でもトップクラスだろう。日本の大学も突出して高い評価を得ているわけではないが、前述のように、世界大学ランキングでもユニークな存在だ。こうした現状を誇りに思うことができれば、ドル高も燃料不足も跳ね返していくことを多少なりとも期待できるだろうし、世界で最も信頼のある「学習バッジ」を発行できるのではないか。

「学習バッジ」が一般化すれば、ますます「学校歴」に意味がなくなる。さらに、高校新卒で大学に行くことにも疑念が芽生えるだろう。自分の活動がくまなく証明されるようになれば、寄り道も立ち止まりも意味を持ちやすくなる。

 ラグビー日本代表であった福岡堅樹さんが、ラグビー選手人生にすっぱりと別れを告げ、医学部に進学した。肉体的にも精神的にも最もタフな、自分にとって“旬”の年齢をラグビーにつぎ込み、大学を卒業してから、今度は医学部に編入して医師を目指している。人生100年時代である。自分が輝ける時、いつが“旬”な時かを見極めて進路を選択すべきである。
 
 日本からアメリカのメジャーリーグに渡ったプロ野球選手の中には、引退後、大学や大学院で学ぶ人が多い。プロ野球選手として得た知見を学術の世界で極めていき、社会や後輩に知見を開いていくのである。高校野球で活躍してドラフト1位で指名されたのであれば、大学に行かずにプロ野球に行くべきだろう。勉強を頑張って東大に入るよりもドラフト1位でプロ野球選手になる方が希少性は高い。そうした栄誉は誰もが得られるものではない。大学には、プロ野球を引退した後で行けば良いのだ。