銀行や証券会社でおすすめされる投資信託のほとんどが「アクティブ・ファンド」と言って、ファンドマネジャーが銘柄などを厳選してつくる投資信託です。しかし、その実態は「平均よりも勝てない」ものが多かったり、「人気なのに成績がよくない」という事実も!

最終回の今回は、だまされないために、絶対に知っておきたい、投資信託の知られざる実態を、竹川美奈子さんの新著『一番やさしい!一番くわしい!はじめての「投資信託」入門』より、一部抜粋で紹介します。

「インデックスファンド」=コストが安くて平均と連動
「アクティブファンド」=平均に勝ちに行く!

 投資信託の運用スタイルは主に「パッシブ運用」と「アクティブ運用」の2つにわけられます。

 まず、「パッシブ」(消極的)運用というのは、あるまとまった市場全体の動きを反映するように運用する手法のことです。たとえば、日本株の場合、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指数(インデックス)と同じように動くことをめざす「インデックスファンド」が、パッシブ運用を取り入れた代表的な商品になります。いわば、特定の指数と同じような運用成績を、できるだけ安いコストで実現することをめざした運用手法といえます。

 逆に「アクティブ」(積極的)運用とは市場平均や指数を上回ることを目指す手法です。ファンドマネジャーという運用するプロが銘柄を選び、投信に組み込みます。手数料はインデックスファンドと比べると高めです。

新興国へ投資する投資信託は
8~9割が「指数」に負けている!?

 実は、目標とする指数(ベンチマーク)に勝てるアクティブファンドは少数派です。投信ではよく「ベンチマーク」という言葉がでてきます。ベンチマークというのは、投信が運用の目標とする指数のことをいいます。
 たとえば、日本株に投資する投信であれば、TOPIX(東証株価指数)がよく使われます。インデックスファンドの場合は「このベンチマークにぴったりの動きをする」ということを目標としています。

 専門用語でいうと「ベンチマークとかい離していないか」が評価のポイントになります。

 これに対して、アクティブファンドは「ベンチマークを上回ること」を目標としています。運用担当者が個別の会社を分析したり、市場を分析したりして、株価が上がりそうな会社などに投資することで、頑張ってベンチマークを上回る成績をだそうとするわけです。しかし、この平均を上回る成績というのがとても難しいのです!次のページでデータで見てみましょう。