近年、「頭の回転の速さの象徴」としてお笑い芸人が多くの場面で活躍をしている。そんなあらゆるジャンルで活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏による1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』が発刊された。ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちがその門を叩いてきた「NSC(吉本総合芸能学院)」で本多氏が教えてきた内容をビジネスパーソン向けにアレンジした『1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』より、本文の一部を抜粋・再編集しお届けする。

口数が少ないのにコミュ力が高い人が実践している「短く伝える」秘訣とは?Photo:Adobe Stock

話す時間は短い方が相手に伝わりやすい

 漫才志望、コント志望にかかわらず、全員の生徒に教えていることがあります。それが「話をブロックにわけて考える」ということです。どういうことか、いつもの授業通りお笑いを例に解説をします。

 お笑いのコンテストには必ず、時間制限があります。1分でも2分でも、まずは限られた時間のなかでネタを披露するのが絶対条件です。

 多くの若手芸人はその制約された時間のなかできれいな「起承転結」の流れをつくろうとしてしまいますが、実はそうでなければいけないわけではありません。もちろんきれいな「起承転結」があるに越したことはありませんが、必須条件でもないのです。それよりも大事なことは笑いの総数をどれだけ増やせるかです。

 お笑いを見たい人は話の美しさを感じたいわけではなく、単純に笑いにきているわけですから、とにかく笑える箇所をひとつでも多くつくる必要があります。

 そこで、私が教えているのが、「話をブロックにわけて考える」です。たとえば、2分のネタだとしたら、5秒のフリ、5秒のボケ、5秒のツッコミの合計15秒をワンセットと考えて、ネタ全部で8ブロックの構成にすることができます。ボケとツッコミの両方で笑わせることができたら2分で最低16回も笑わせることができます。

 もちろん5秒という縛りがあるわけではありませんが、目安としてそれぞれの時間を決めておくことで、思考が矯正されアイデアが出やすくなります。

「起承転結の流れがきれいな2分ネタ」と「短いブロックで構成される2分ネタ」では、後者の方がお客さんに飽きられる確率が低くなります。

 ちなみに口数はそこまで多くないのに話すのが上手な人が私のまわりにいます。そういった方は自然と話をブロックで話すことができており、実にわかりやすく端的に情報を伝えてくれます。

 こういった形でコミュニケーションにも応用できることなのでぜひ意識してみてください。