クレディ・スイスPhoto:123RF

不安沈静化優先のクレディ・スイス買収劇
破綻避けられたが「3つの課題」

 スイス金融最大手のUBSは、スイス政府と金融当局が仲介する形で、3月19日に長年ライバル関係にあったクレディ・スイスを買収することを決めた。

 世界的な金融危機に発展しかねないクレディ・スイスの無秩序な破綻がこの買収によって回避されたことは、好ましいことだ。

 しかし、金融不安の拡大を回避することが最優先されたこの買収劇は、政府による銀行救済と民間銀行のディールが組み合わされた中途半端なもので、大きな「三つの課題」を残すことになった。

 資産の処理で将来、国民に負担が及ぶ可能性があるほか、とりわけクレディ・スイスのAT1債が無価値となったことで、投資家は大きな痛手となっただけでなく、AT1債市場の混乱が発行体である銀行にも自己資本確保で強い逆風になる。