例えば、副業で絵本のネット配信に挑んでいる場合は次のようになります。

○原点
 子どもに読み聞かせをねだられるが、絵本は意外に高価で多くの作品に触れさせてやれない。そこでネットで安く配信して、日本中の子どもたちに絵本をもっと身近な存在にしてあげたいと思うようになった。

○取り組んできたこと
 出社前の1時間と帰宅後の時間を使って、絵本のネット配信サービス「絵本作家」なるサイトを立ち上げる。配信サービスの事業プランの立案や運営・管理などもひとりでこなす。

○夢
 副業で経営者の視点を学び、本業でより大きな仕事をなし遂げられるようになりたい。

3. 共感人生型ストーリー

 最後は「共感人生型ストーリー」です。これは文字通り、相手に共感してもらえるあなたの人生をストーリーとして伝えます。特に創業間もないベンチャー起業家に多いパターンです。

 一例として、1時間単位で専門家に相談できるコンサルティング・サービス「ビザスク」を起業し、上場を果たした端羽英子氏のストーリーをご紹介します。

 結婚したのは、ゴールドマン・サックス証券に内定していた大学4年のとき。入社後あまりの忙しさに、妊娠を機に1年で退職。一時は落ち込むも、その挫折感をバネに、猛勉強をして米国公認会計士に合格。

 その後日本ロレアルに再就職するが、1年後に夫のボストン留学が決まり、退職して同行することに。渡米後は、子育てしつつ勉強してMITに合格し、2年間でMBAを取得した。

 留学期間が終わる時期に結婚生活も解消。帰国後は投資ファンドに職を得て、ベビーシッターのサポートを得ながら働いたが、あるとき「リーダーシップに欠ける」と評され、昇進が見送られる。「自分に足りないところも見えたとき、次のステージに成長するには、この延長線上では難しいのでは、と考えるようになりました」。

 折から子どもは中学受験の時期。子どもとの時間を増やしたいが、投資ファンド勤務では難しい。「これは起業のタイミングだ」と感じて退職。ビザスクを起業した。「子どもとの時間を増やすはずが、始めたら面白くて夢中になり、上場まで突き進んでしまいました。今は、新しいマーケットの可能性とこれから提供できる価値の大きさに、ワクワクしています」。
(※出典『日経WOMAN2021年1月号』)