日本銀行Photo:PIXTA

物価が上っても賃金は上がらない
「賃金停滞」の本当の“犯人”は?

 賃金が上がらない。これが、日本経済の最大の問題だ。

 日本の賃金は1990年代の中頃からほとんど上がっておらず、それに対して世界の多くの国でこの間に賃金が上昇した。そのため、日本の国際的な地位が著しく低下した。

「日本で賃金上がらないのは、物価が上がらないからだ」と言われてきた。物価が上がれば賃金も上がるとされて、金融緩和が行われた。だが金融緩和は止めどもなく続けられたが、効果は一向に現われなかった。

 2022年には金融緩和の結果ではなく、海外発のインフレーションが日本に輸入されたことと円安が進んだために日本の物価上昇率が3%を超えた。しかし、賃金上昇率はそれに追いつかず、実質賃金は下落した。つまり、物価が上昇しても賃金はそれに見合って上がらないということがはっきりした。

 では日本の賃金はなぜ上がらないのか?それを変えるには何が必要なのか。「植田日銀の」緩和維持が役に立つのか?