就活本に初めて「自己分析」の考えを取り入れた『絶対内定』
その最新作となる『絶対内定2025』が刊行になる。本書は2025年卒以降の学生向けの自己分析、就活対策決定版である。
ただ内定をとるだけではなく、「本当にやりたい仕事がわかる(やりたいことに気づける)」「自分らしく働ける会社と出合える」「入社してから『こんなはずじゃなかった』と後悔しない」ための1冊であることが大きな特徴だ。
これまで1万200人以上に就職指導をし、その“第一志望”内定率が93%というキャリアデザインスクール「我究館」がもつノウハウがこのシリーズには詰まっている。
今回は同書の刊行を記念して、その内容の一部を特別に公開する。(構成/朝倉陸矢)

絶対内定Photo: Adobe Stock

自分が心から望むこと(=夢)は何か?

 夢は考え出すものではない。ひねり出すものでもない。夢が見つからないなら、考えるよりも刺激を受けまくれ。

 頭で戦略的に考えた夢(目標)を否定するつもりはないが、心の中からナチュラルに湧き出るものを大事にしてほしい。実行の段階においては、時には意志の力も必要になるだろうが、夢を発見する段階では、勝手に心が動かされるものを自分の内に感じ取ってほしい。

 そういうものであればあるほど、努力が苦痛ではないはずだ。人から言われるのではなく、ナチュラルに自分の気持ちで動いていけるのだ。とことんやれるはずなのだ。

 心を動かされる夢や憧れがない人は、そのほとんどが刺激を受けるチャンスが足りなすぎる
 意志の力で自分を抑圧して、漫然と勉強や興味の持てないバイトなどに長期的に力を注いでしまったためか、あるいは金銭的制約や家族などの狭い価値観の常識の抑圧の中で、常に現実的な選択を迫られてきたためか、いずれにしろ心の内の本音に気づく感受性も鈍ってしまっている。
 若いのにオジサン、オバサンになってしまっている。そういう状態の人は必然的に爆発的な集中力も、突っ走りたくなる衝動も失ってしまっている。

もっと刺激を受けよう

 世の中には刺激的な人間がいくらでもいる。会社員にも大学生にも、目が覚めて強烈な夢と志を持って燃えて生きている人間がいるのだ。そういう人物に触れ、憧れ、悲しみ、驚きにあふれる社会の現実を見て、心を突き動かされてほしい。

 突き動かされる夢を持てば、その瞬間、きみは人と違う行動を歩むことに恐怖を感じなくなるはずだ。
「私には私の夢がある」
 その状態で、本音と行動がミートしている感覚を持ちながら、生身で現実に立ち向かってほしい。

夢ややりたいことを見つけ出せない人の特徴

 次のようなケースが多く見られる。
 経済的な制約や親の狭い価値観による制約などで、心の奥の本音の思いにふたをしてしまっている──本当はやりたいこと、例えば森鷗外の『舞姫』のようなエキサイティングな留学や沢木耕太郎の『深夜特急』のような世界の旅を望んでいるのに、金もないし、親が許すわけないし、親を悲しませたくないし、自分も怖くてできないし、人にどう思われるか分からないし、どうせ無理だから……という気持ちから、自分の思いにふたをしてしまうのだ。

 たとえ本当に無理だとしても、自分の思いにふたをして、ごまかして社会人訪問しても、エントリーシートを書いても、思いにふたをしている状態では、「やりたいことが分からない」という悩みのスパイラルに落ちていく……

「どうせ無理だから」の心のふたは、実にやっかいな代物だ。ふたがあると、いつまでもケツがまくれない。本気で何かに取りかかることが極めて困難になる。心の中にある本音に、いつまでたっても気づきにくい。

心のふたを取る

 まずふたを取れ。取ってしまえ。非現実的だろうと、金がないから絶対に無理であろうと、無謀で危険で破廉恥で親不孝で、あり得ない選択だとしても、「もし何の制約もないのなら本当はどうしたいのか」をはっきりと感じ取ろう。言葉にしてみよう。

 そして、本当に今それをしたいのか。できるのか。逃げずに現実的に考えてみよう。
「今は無理だ」あるいは「憧れるが現実的でない」とはっきり分かったのなら、どうするか考えよう。いつか実現するとして、今は違う選択をするもよし。何か違うやりたいことを見つけるもよし。
「やっぱりどうしてもやりたい。できるだけ早く実現したい」とはっきり感じたならば、覚悟を持てたならば、その実現に向かって準備を始める。いずれにしろ、はっきりと割り切ることだ。心に決着をつけることだ。

(本稿は、『絶対内定2025』からの抜粋記事です)

杉村太郎(すぎむら・たろう)
(株)ジャパンビジネスラボ創業者、我究館、プレゼンス創業者・元会長
1963年東京都生まれ。慶應義塾大学理工学部管理工学科卒。米国ハーバード大学ケネディ行政大学院修了(MPA)。87年、住友商事入社。損害保険会社に転職し、経営戦略と人材育成・採用を担当。90年、シャインズを結成し、『私の彼はサラリーマン』でCDデビュー。92年、(株)ジャパンビジネスラボ及び「我究館」を設立。就職活動に初めて“キャリアデザイン”の概念を導入し、独自の人材育成「我究(がきゅう)」を展開。94年『絶対内定95』を上梓。97年、我究館社会人校を開校。2001年、TOEIC®/TOEFL®/英会話/中国語コーチングスクール「プレゼンス」を設立。08年にハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所客員研究員に就任、日米の雇用・教育問題と政策について研究。11年8月急逝。著書は「絶対内定」シリーズ、『新TOEIC®テスト900点 新TOEFL®テスト100点への王道』(共にダイヤモンド社)、『ハーバード・ケネディスクールでは、何をどう教えているか』(共著、英治出版)、『アツイコトバ』(一部電子書籍はダイヤモンド社より発行)等。
藤本健司(ふじもと・けんじ)
我究館館長
千葉大学教育学部卒業後、(株)毎日コムネット入社。営業に配属され、2年目に優秀社員賞、3年目に社長賞を受賞。2012年「世界の教育問題に対峙したい」との思いから、青年海外協力隊としてケニア共和国で活動。3年間、JICAや現地の省庁と連携し、児童福祉施設における情操教育やカウンセリングに携わり、「人は志や気づきによって大きな成長を遂げられる」ことを実感する。2016年より(株)ジャパンビジネスラボに参画。我究館学生校の主担当コーチとして大学生をサポート。2017年10月より副館長を務め、2021年5月より現職。外資系投資銀行、コンサルティングファーム、総合商社、広告代理店など、難関企業に多数の内定実績がある。著書に「絶対内定」シリーズがある。