給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【成長株の見つけかた】四季報の事業内容・近況から、その会社の強みや成長シナリオを探るPhoto: Adobe Stock

売上高営業利益率は、
その会社の収益体質を見る1つの目安

 会社四季報の①は、事業内容と近況についての記事です。ここで会社の事業内容、会社の強み、業績の好調・不調の原因、成長シナリオを探りましょう。

 下図①の【連結事業】には、部門別の売上高比率が載っています。カッコ内は売上高営業利益率(売上高に対する営業利益の割合)です。

 売上高営業利益率とは、売上高のうちどのくらいの割合で営業利益として残るかと見る指標であり、収益体質を見る1つの目安になります。スター・マイカ・ホールディングスの場合は、リノベーションマンションの事業が売上高の98%を占め、その売上高営業利益率は12%であるとわかります。

 連結する対象がなくて単体決算の会社の場合には【単体事業】となっています。子会社や関連会社を連結して決算を出している会社は連結決算の会社、そうした連結対象がない場合には単体決算の会社ということです。

 ①の部分から、この会社は中古マンションに投資して賃貸収入を得て、退去後に改装して売却するという独自のビジネスモデルであり、賃料収入も販売戸数も販売価格も順調で、今後は福岡、仙台、神戸などでの事業展開を強化するというような成長シナリオであることがわかります。

 上図②は会社の住所、電話番号、従業員数や従業員の平均年収(「年」)などが出ています。「上」のマークは上場している取引所です。「東京」となっていれば東証(東京証券取引所)です。東証の中でもPはプライム市場、Sはスタンダード市場、Gはグロース市場ですが、東証ならどの市場でも問題はありません。

 プライム市場は大型株と中型株、スタンダード市場は中型株と小型株、グロース市場は小型株の中で社歴が若い株が中心に上場している市場です。

 大型株、中型株、小型株の明確な定義はありませんが、大型株(時価総額1兆円以上)、中型株(同1兆円~1000億円)、小型株(同1000億円以下)が一つの目安です。

 名古屋、福岡、札幌という地方市場の場合、証券会社によっては取引できないので、その点は少し注意が必要です。

 上図の③は株主構成と役員についての情報です。大株主に有力な企業や有力な投資家が出ていないか見てみましょう。もし有力と思われる企業が大株主に出ていたら、その会社とどのような関係にあるのか、子会社や関係会社なのか、業務提携をしているのか、などネット検索などで調べてみてもいいでしょう。

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/