子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

子ども専用の本棚を与え、自分で絵本を選ばせる

 1歳を過ぎたら子ども専用の本棚をつくり、子どもの好きな絵本を並べるようにしてください。

 すぐに自分で本を引っ張り出してきて「読んで読んで!」とせがむようになります。

 子どもは同じ絵本を何度も「読んで!」と言ってきますが、「別の本にしよう」などと言わず、何度でも繰り返し読んであげてください。

 お気に入りの絵本を見つけることが、子どもを本好きにする第一歩なのです。

 繰り返し同じ絵本を読んでいると、子どもは内容を覚えてしまいます。そして自分が楽しみにしているページやセリフを心待ちにするようになります。

 この経験をたくさんさせることで、言葉の力はもちろん、記憶力、イメージ力、理解力なども高度に発達させることができるのです。

読み聞かせは「眠たくなる時」がベストタイミング

 読み聞かせをしていると、「子どもが逃げてしまう」というケースがあります。

 読み聞かせをする時は「タイミング」に注意しましょう。子どもの情緒は、明るく元気のいい時と、暗く落ち込む時が交互に波のように変化しています。

 読み聞かせをするベストタイミングは「元気から落ち込みに入る時」です。活発に遊びたい時に「絵本を読みましょう」と言っても子どもは逃げていきます(特に男の子にその傾向が強いです)。

 子どもの情緒が落ち着いている時、情緒のリズムがスローダウンしてきた時、夜寝る前やお昼寝の前などを見計らって読み聞かせをするとうまくいきます。

 もちろん子どもが「読んで!」と本を持ってきた時は最大のチャンスですから「あとで!」とは決して言わずに読んであげてください。

3歳からは「質問」をしながら読み聞かせる

 3歳~6歳の子どもは言葉を操作する力が極めて発達し、それと同時に思考力もめきめき伸びていきます。

 この時期の子どもには、絵本を読みながら質問をして「考える力」を育てていきましょう。

 親が「問い」を重ねると、子どもは深く考える習慣を身につけることができます。

「ママはメロンパンナちゃんが好きだけど、◯◯ちゃんは誰が好き?」と聞けば「アンパンマン!」と答えます。すかさず「どうしてアンパンマンが好きなの?」と聞きます。

 すると、「やさしいから」「強いから」と理由を考えてくれます。

 質問のポイントはしつこく聞かないこと。「おもしろかった?」「どこがおもしろかった?」「誰が好きだった?」と一方的に聞かれると、子どもは答える気を失います。

「ママ(パパ)はここがおもしろかったけど、◯◯ちゃんはどこがおもしろかった?」というように「自分はこうだけど」と言ってから、質問するようにしてください。

 子どもの言語力の発達に応じて、読み聞かせる本もストーリー性の強いものにしていきます。

「ももたろう」「一寸法師」「つるの恩返し」「浦島太郎」「はなさかじいさん」などの昔話は日本の文化や風習を学べる素晴らしい教材です。

 また「アリとキリギリス」「うさぎとかめ」などのイソップ物語、「赤ずきん」「白雪姫」などのグリム童話、「裸の王様」「マッチ売りの少女」などのアンデルセン童話は異文化に対する理解と知識を育ててくれます。

 読み聞かせによって育まれた言語操作能力は、子どもが小学校に上がり、教科学習をスタートする時に大きな力となって学習活動を支えてくれます。