「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「本を読む習慣がない私でも読みやすく、頭に入りやすかった」
「何度も読み返したい本!」

といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】「1人で食事する子と、複数人で食事する子」。大人になってから表れる違いとはPhoto: Adobe Stock

子どもが1人で食べるのはOK?

 食事の時間に子どもが1人で食べている家庭も多いと思います。当クリニックの患者さんにも、いくつもそのような家庭があります。家庭の事情で仕方のないことではありますが、できるだけ個食、孤食とならないように、工夫をお願いしたいです。

 1人で食べる人たちと、複数で食卓を囲む人たちでは、食事のバランス、 野菜の摂取量、 全体的な健康度、テロメア長(染色体の先端部分。長いと長生きする)など、さまざまな分野で差が出ることが研究でわかっています[*112]。

1人の食事は、何が良くないの?

 1人での食事が続くと、次のようなことが科学的な研究で示されています。

 ●食事内容が偏る
 ●いつも同じ食事パターンになる
 ●炭水化物が多めになり、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの摂取量が減る

 よって、全体的な健康度が落ちるのです。
 また、偏った食事が続いて健康度が落ちるということは、寿命を示す「テロメア」も短くなることがいくつかの研究で示されています。[*113]

 ただ、この孤食の問題は個々の家庭ではなく、社会全体で考えるべきことです。いろいろな事情で子どもを1人にせざるを得ない家庭があることを忘れず、それぞれができる形でフォローできたらと考えています。

 このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)

*112  堤ちはる.「食」を通じた子育て支援ー幼児期からの食事に望むものー.小児保健研究. 2011; 70巻記念号:7-9.
https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2011/0070s1/004/0007-0009.pdf
(2022年11月20日)
*113 Boccardi V, Paolisso G, Mecocci P. Nutrition and lifestyle in healthy aging: the telomerase challenge. Aging (Albany NY). 2016 Jan;8(1):12-5. doi: 10.18632/aging.100886. PMID: 26826704; PMCID: PMC4761710.