コストや効率だけでなく
命を守るオフィスを提案

 日本を代表する大手総合住宅メーカーグループの一員として、快適さと同時に「社員の命を守る」という視点も、同社の事業には貫かれている。山本氏は次のように強調する。

「新しいオフィスに快適さ、スペース効率を求めるのは当然ですが、そこに“命”という視点を加えるべきだと思います。東日本大震災直後には什器や備品の転倒防止処置が進みましたが、震災から2年が過ぎた現在、少しずつ防災に対する意識が薄れているようにも感じます。こんなところでいいだろうという、中途半端な対応ではなく、レイアウト段階から有事を念頭に入れた提案をしていきたい」

 具体的には、避難時の動線やドアの個数や位置、開口部の取り方なども含む。什器が転倒しても避難経路を確保できるレイアウトにすると、スペース効率は若干落ちるかもしれないし、防災を考慮した分、コストがかかるもしれない。それでも「事業者の使命として提案したい」と車取氏は語る。

「社員の命を守る」ことを重視し、オフィスの防災対策も得意。単に連結固定を施しても、十分な処置とは言えない。什器、備品の耐久性への配慮から避難経路の確保まで、高い「防災力」、安全・安心を備えたオフィスを提案する。

「あくまでも提案であって、どう捉えるかはお客様次第です。防災重視のプラン、レイアウトを基に、お客様の意向をうかがいながら、より良いものを求めていきます。日本は地震大国であり、首都直下型をはじめとして、各地で地震発生の可能性も指摘されています。“命を守る”という視点から、啓蒙的な提案を行っていきたいですね」

顧客ごとに専属の「オフィス移転ファシリテーター」(写真左)が一貫して担当(右は現在お付き合いのあるお客様)。移転時の現場での指示から、移転後の事務手続きまで、すべてをサポートし、総務担当者の煩わしさを軽減する。

大和ハウスグループの総合力が活きる事業フィールド

 当社は現在、建物管理を中心に事業を展開していますが、実は創業事業は「引っ越し業」でした。人事異動によって従業員の住居が移転する際の引っ越しを担当させていただく会社だったのです。ヨチヨチ歩きの創業期には、数々の失敗でお客様からお叱りを受けることもありました。

城戸知幸
常務取締役 事業本部長

 30年が過ぎ、グループ全体の成長と連動して事業フィールドを拡げ、この事業分野でも広く一般市場からお仕事をいただけるようになりました。

 お客様から「○○さんが本当によくやってくれた。○○さんが担当でよかった」という言葉をいただくことが、この仕事のゴールだと考えています。アナログで浪花節かもしれませんが、それが真実だと思います。

 ひと家族のお引っ越し1件でも、オフィスビル丸ごと1棟の移転プロジェクトでも、最後はこの「○○さん」の熱意と誠意がいい仕事を創り、次につながると考えています。