「会社に対する不満が蔓延している」、「なぜか人が辞めていく」、「社員にモチベーションがない」など、具体的な問題があるわけではないけれどなぜだかモヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、近年話題の「組織開発」というアプローチだ。組織開発では、「対話」を通してメンバー間の「関係の質」を向上させていく。そんな組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介したのが、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)だ。本記事では、発売前から話題沸騰となっている『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。

若手エース社員が突然転職!?「人が辞めていく組織」の共通点Photo: Adobe Stock

職場の雰囲気が「ちょっとおかしい」と思ったら

 まず、あるマネジャーの物語から始めましょう。これはフィクションですが、著者が日頃見聞きするマネジャーにありがちな経験を、一人のストーリーとして集約したものです。

 佐藤さんは39歳。大手機械メーカーの営業部門で働く15年目の中堅社員です。マネジャーに抜擢されて2年目、メンバー8人を率いるリーダーとして働いています。

 しかしこのところ、佐藤さんはモヤモヤした気持ちを抱えていました。昨年あたりから売上実績が伸び悩むようになったのです。既存の顧客との関係は良好で、大きな失敗があったわけではない。業界全体の景況感も決して悪くない。どうもメンバーのやる気が薄れていることが原因のようです。

 ちょっとおかしい、と感じ始めたのは、マネジャーになって1年ぐらい経った頃でした。入社3年目の若手メンバーの渡辺さんが毎週のように欠勤するようになったのです。無理をしないようにと伝えましたが、本人は「大丈夫です」と言います。そのうち勤務状態は元に戻りましたが、心配は消えませんでした。

 それから1ヵ月後、若手のリーダー格である村井くんから、会社を辞めるとメールが来ました。転職先も、すでに決まっていると言います。

 もはやチームは、バラバラになってしまったように感じられました。佐藤さんは頭を抱えるばかりです。

 これは若いリーダーを主人公にした架空のストーリーですが、「なんだかうまくいかず、モヤモヤする」というこの感じ、みなさんもおわかりいただけるのではないでしょうか。

組織のモヤモヤの原因は「目に見えない」ことが多い

 この事例において、佐藤さんが率いるチームは、どのような課題を抱えているのでしょうか? また、どうすれば課題が解決するのでしょうか?

 この状況で必要なのは、「目に見えにくいことの調整」だと言えます。

 業績低迷とメンバーのやる気低下は、別個に検討すべき課題であるように思われますが、その2つはおそらく無関係ではありません。同じ要因に根ざしている可能性もあり、それは表面上ではとらえきれない要因である可能性もあるのです。

 つまり、一人ひとりの仕事に対する思いであるとか、「もっとこうしたら良いのでは?」というようなアイデアなど、なかなか表に出てこないところにモヤモヤの本当の原因があるのかもしれません。

 そこで「組織開発」という手法が浮上します。個人のスキルを向上させる「人材開発」とは別に、組織そのものに着目して「良い組織」を目指して実施するのが組織開発です。

 組織開発では、「目に見えにくいこと」をテーブルの上に載せ、みんなで話し合って問題解決を図ります。

(本原稿は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の内容を抜粋・編集したものです)