「世界一のおしどり夫婦」として名を馳せていたオバマ夫妻。58歳になった元米国ファーストレディ、ミシェル・オバマが夫バラク・オバマとの30年に渡る結婚生活や現在の夫婦関係を赤裸々に綴る。本稿は、ミシェル・オバマ『心に、光を。不確実な時代を生き抜く』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。

世の中の大半の人が悩む
パートナーとの確かな関係

オバマ夫妻写真は書籍本文より 提供:Obama-Robinson Family Archive

 いろいろな人から、よく夫婦関係についてアドバイスを求められる。みんな、わたしとバラクがいっしょに写っている写真を見たと言う――ふたりで笑ったり顔を見あわせたりして、隣同士でしあわせそうにしている写真で、どちらもいっしょにいるのが楽しそうだとみんな思っている。だから尋ねられる。どうすれば30年も結婚生活をつづけて、しかも不幸にならずにいられるのか。

 わたしは言いたい。“そう、本気でわたしたちもときどきびっくりするの!”本当に、冗談ではなく。もちろん問題もあるけれど、わたしは夫を愛していて、夫はわたしを愛している。いまでもまだ。おそらくこれから先もずっと。

 わたしたちの愛は完璧ではないけれど本物で、ふたりともそれにコミットしている。いろいろな点で夫とわたしは、かなりちがう人間だ。バラクは夜型人間で、ひとりでやる趣味を楽しむ。わたしは早起きで、人でいっぱいの部屋が大好き。わたしの考えでは、バラクはゴルフに時間を使いすぎている。バラクの考えでは、わたしは低俗なテレビ番組を見すぎている。

 でも、ふたりのあいだには愛情に満ちた、とてもシンプルな安心感がある。写真を見た人は、これを感じとるのだと思う。人生の半分をともにしてきて、お互いにいろいろなことでいらいらし、あらゆる点でちがう人間であるにもかかわらず、どちらも相手から離れなかった。

 大人になってから、いろいろな場所で暮らしてきたけれど、わたしには本当のホームはひとつしかない。わたしのホームは家族だ。わたしのホームはバラクだ。

 わたしたちの夫婦関係は、ふたりでいっしょにつくりあげてきた。結婚生活はわたしたちが飛びたって着地する場所で、それぞれが完全に、気楽に、しばしばうっとうしいほど自分でいられる場所だ。いっしょに暮らすこの領域、ふたりのあいだのエネルギーと感情は、こぎれいで整然としているわけではかならずしもないし、片方あるいは両方が望んでいるとおりでもない。それをふたりとも受け入れるようになった。でも、はっきりわかっていて心強いのは、この関係がつづいていること。確かなものを手に入れるのがひときわむずかしく感じられる世界で、わたしたちにとってそれは、揺るぎない確かなものになった。