子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

一人の先生が何十人もの生徒をケアすることはできない

 現代の教育で起こっている問題の多くは、多様化が進み選択肢が増え過ぎたことに一因があると私は考えています。

 何も頼る先がなければ、親は子どもの教育や強み育てを自分の責任でやらなければならないのです。

 ところが社会が豊かになり、便利になり、多様になり、選択肢が増えたことで、子どもの教育や習い事を「誰に任せるのか」ということばかりに気を取られるようになってしまいました。

 その結果、子どもの教育を学校や習い事に丸投げする親が増えたのです。

 子どもの教育の責任者は親です。学校や習い事は学びのガイドラインや学問のおもしろさを教えてくれる場であり、競争環境を作ってくれる場であり、周囲と協力し合うことや助け合うことを教えてくれる場です。

 どんなに才能溢れる子どもでも、学校や習い事に丸投げしてしまうと、強みの芽が伸び止まってしまう可能性が高くなるのです。

 教育は、子どもが大海原に航海に乗り出していくための準備をしてあげること。

 親の役割は、荒海の中でどんな困難や障害にぶつかっても、それを乗り越えていけるだけの知識や技能や気質を身につけさせることです。

 嵐に巻き込まれ、行く先を見失っている子どもを見て「学校のせいだ!」「先生の教え方が悪かったんだ!」と言っても、手遅れなのです。

 とにかく、子どもの教育を他人に丸投げしてはいけません。先生は一人で何十人もの生徒を面倒見ているのですから、一人ひとりの子どもに行き届いたケアや教育指導を与え、「強み」を伸ばしてあげることなど物理的に不可能なのです。

 親が子どもの性格や強みを見極め、我が子にベストマッチの環境を選んであげることは大切です。

 しかしどんな環境であろうとも、親のサポートがある子は伸び続け、丸投げされた子どもは伸び止まるということを肝に銘じてください。学校や習い事に過剰な期待をしてはいけないのです。

(本原稿はToru Funatsu著『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』から一部抜粋・編集したものです)