開成・桜蔭・筑波大駒場・渋谷幕張…。東京・吉祥寺を中心に都内に展開している進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、特にエリート父親層から圧倒的な支持を集めている。本連載では、『男の子の学力の伸ばし方』などの著書があるVAMOSの代表・富永雄輔氏に「保護者からよく聞かれる質問とその回答」を聞いた。

【激変する子育て環境】「流行りの教育法」を追いかけすぎると見落とすことPhoto: Adobe Stock

近年、軽視されている力とは?

Q. 親世代が子どもだった頃と子育ての環境が激変していて戸惑います。最近の変化について、どのようにお考えですか?

 プログラミング教育や非認知能力を重視する育て方など、いろいろな考え方やノウハウがいまはあると思います。

 もちろん、これらも重要です。そんななかで、少し軽視されていると思うのが、「情報処理力」「作業力」と呼ばれるものです。

 これらは確かに、AI時代において必要がなくなりつつあるものではあります。しかし、一気に世の中の全てが変わるわけではありません。

 5年後、10年後に必要性がゼロになるかといえば、おそらくならないと思います。むしろ、一定数の人たちは、まだまだこれからもこの能力の高さを生かして活躍するでしょう。

 私は、多くの人がこの能力をいま伸ばさなくていいと思い込み過ぎているように感じています。

 実際に、教育現場においても、ドリル学習のような基礎的な学習法が若干軽視されています。

 このような状況では、ドリル的なものをたくさんこなして処理スピードや作業力を上げるのも、1つの勝ちパターンとなり得るのではないでしょうか。

 私が子どもだった時代はみんなドリルをやっていましたから、多少やったくらいでは成果は出にくかったですが、今はそこを飛ばしてしまっているお子さんも結構いますので、少しやるだけでも、結果は出やすいと思います。

 ちなみに、中学受験の人気校のなかにも、こういった能力をいまでも大事にしている学校があります。

 次の時代を生き抜くための力ももちろん重要ですが、これまで重視されてきたものを軽く見ていいわけではないという点はお伝えしておきたいと思います。