子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

幼稚園は、訪問して自分の目で確かめる

 幼稚園は、子どもの学校経験の始まりです。

 近所の幼稚園、自由な校風の幼稚園、礼儀やしつけ重視の幼稚園、お勉強重視の幼稚園、学年が入り交じる縦割りの幼稚園、英語教育を取り入れている幼稚園など、選択肢が多いので悩むところです。

 どの親も子どもに合った幼稚園、子どもの個性を伸ばしてくれる幼稚園を選んであげたいと望みますが、年齢が低い子どもの特性を見極めるのは難しいことです。

 幼稚園選びのポイントは、親が幼稚園に(何度か)足を運んで「本当に我が子を通わせたいのか」を自分の目で見極めることです。

・施設の充実度
・先生の人柄(明るいことが大切)
・先生の指導方法
・先生と子どもの数の比率
・園長先生の教育方針
・通っている子どもたちの雰囲気や表情
・父兄の雰囲気

 こういったことを観察しましょう。

 いくら評判がよくても、実際に見てみると「ちょっと雰囲気が違うな」と感じるかもしれません。また、見極めのポイントとして外せないのが子どもの性格に合うかどうかです。

 たとえば、活発な子どもをしつけにうるさい幼稚園に入れて抑えつけようとしてはいけません。活発な性格は子どもの特性の一つです。そんな子は自由に走り回れる環境に入れてあげれば、将来オリンピックアスリートに化けるかもしれないのです。

 絵を描いたり、ブロック遊びをしたり、本を読むことが好き、一人でじっくり学ぶタイプの子であれば、勉強重視の幼稚園がマッチします。

 保護者も幼稚園の先生も「勉強第一」という価値観を共有していますから、親子とも居心地よく、周囲の子どもも似たようなタイプが多く、安心して子どもを預けることができます。

 また、幼稚園の規模も重要です。

 消極的な性格の子どもであれば、できるだけ小さな、家庭的な雰囲気の幼稚園のほうが安心して過ごせるでしょう。また一人の先生が教える生徒の数が少ない園のほうが細かい部分にまで目が行き届きます。

 最近はモンテッソーリのように、学年を分けないで縦割り教育を実施する園も増えています。年齢を超えて子どもたちが助け合い、ふれあうことができるので、一人っ子が増えた現代社会では貴重な体験ができます。

 縦割り幼稚園では、入園したばかりの年少者に対して年上の子が「一緒に遊ぼう」と声をかけてあげたり、消極的な子どもに対して「どうしたの?」と心配してあげたりする姿が見られます。

 年少の時に年上の子どもに助けられて成長した子どもは、自分が上の学年になった時に年少者を助ける側に回ります。このような助け合いの精神、兄弟姉妹のような関係を他者と構築する環境が子どもにとって悪いはずがありません。

 また、年齢の違う子どもと関わることによって言語や思考が刺激されます。特に年少者の時は言葉も未発達で思考も幼稚ですから、年上の子どもたちとふれあうことによって、より多くの言語に触れることができます。また子ども同士のトラブルに上の年齢の子が介入することで、賢い問題解決方法を学ぶことができます。

 しかしながら、子どもによっては縦割り保育が合わない場合もあります。一人で遊ぶことが好きな子ども、一人でコツコツと物事に取り組む傾向が強い場合は、集団の中で学ぶことよりも、勉強重視の環境のほうが伸びる傾向があります。

 いずれにしても、親が幼稚園を訪問して自分の目で確認することです。隅々まで子どもたちの様子を観察しましょう。

 一人でポツンとしている子どもがいないか、先生の指導が偏っていないか。我が子がその園の生徒になっている姿をイメージして、その環境の中でポジティブな経験ができるのかを見極めてください。

 くれぐれも幼稚園の名前や周囲やネットの評判にまどわされないように注意が必要です。

 子どもの教育の責任者は親です。親が説明会や幼稚園訪問をして自分の目で見極めてください。子どもは毎日5~6時間を幼稚園で過ごします。両親は「自分も毎日通う」という視点で選ぶことが大切です。

(本原稿はToru Funatsu著『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』から一部抜粋・編集したものです)