イケア、パタゴニアがブラックフライデーに「反旗」を翻した深い理由とは?Photo:Brian van der Brug/gettyimages

今年もブラックフライデーの季節がやってきました。ブラックフライデーは米国の祝日である感謝祭の翌日に行われる大規模セールのことで、売り上げを伸ばす策として世界各国の企業で導入されています。消費者にとってセールはありがたいものですが、一方でこうした大規模セールの社会的問題を指摘する声も少なくありません。その問題とはどのようなもので、われわれはどのように対処していくべきなのでしょうか。(グロービスAI経営教育研究所マネジャー 松村真美子)

全世界で盛り上がるブラックフライデー
指摘される「2つの問題」とは?

 米国の感謝祭(11月第4木曜日)翌日のブラックフライデーは、ホリデーシーズン到来を告げるイベントであり、企業にとっては年末商戦の幕開けでもあります。

 アドビ・アナリティクスによると米国における2022年のブラックフライデーのオンライン消費額は91億2000万ドル(約1兆2700億円※)で、統計開始以来の最高額を記録しました。感謝祭当日から翌週月曜日までの買い物客数も実店舗とオンライン合わせて1億9670万人となり、こちらも調査開始以来、過去最高を記録しています(全米小売業協会による)。
※22年11月25日のレート1ドル=139円で計算

 収支が一気に黒字化(ブラック)するところからその名が付いたという説があるほど、企業にとって売り上げ増加の好機となっているブラックフライデー。米国発祥のこのイベントは今では世界中に広がり、(感謝祭が祝日でない)日本でもその名を冠したセールが実施されるのを見かけるようになりました。

 消費者にとっても、欲しい商品を安く買える大きなチャンスです。特に米国では、目玉商品がずらりと並び、大幅な値引きが行われ、普段のセールやキャンペーンと一線を画すイベントになっています。

 一見すると、企業にとっても消費者にとっても、メリットばかりのようです。

 ただ一方で、こうした大規模セールには社会的側面から問題が指摘されていることを忘れてはいけません。