子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

子どもの納得度が学びの質を変える

 小学校高学年になると、子どもの個性や好き嫌いがかなりハッキリしてきます。また、親よりも友だちの影響が大きくなってくる時期です。

 中学校選びについては、親の希望で押しつけるのでなく、子どもの意思や意欲を尊重することが大切です。

 とは言え、まだ子どもです。100%子どもの判断に任せるのではなく、親がアドバイザーとなり、子どもの学力、強み、個性などを客観的に判断した上で、子どもが自分の意思で自分に合った環境を選択できるように導きます。

 中学受験をする場合、親に言われて渋々勉強するのと、本人が行きたくて本気で勉強するのでは結果がまったく違ってきます。

 目的を持って本気で勉強に挑めば確実に学力は伸びますし、進学後の学校生活も実り多い経験となります。

勉強・スポーツ・音楽などで才能がある子の場合

 子どもが何らかの才能や特技を持っている場合、それを最大限に伸ばしてくれる環境を親がリサーチして子どもに提案してあげましょう。

 サッカーで秀でた才能がある子であればサッカーが強い学校、音楽の才能があれば音楽に熱心な学校、英語が得意な子であれば国際教育に熱心な学校、といった具合です。

 当然、勉強でもスポーツでも高いレベルの学校に行けば競争も激しくなるので、子どもの能力を客観的に判断して、子どもにマッチするレベルの学校を見つけてあげてください。

 子どもの能力を高めていくコツは、今の実力よりも少し高いレベルの環境、手に届く範囲の競争を与え続けることです。

 いきなり高すぎる目標設定をすると失敗の原因になることが多いので、くれぐれも注意してください。

私立中学を選ぶ場合

 私立中学を選ぶ場合、受験を突破することが前提となります。子どもが「行きたい!」と本気で思えることが合否を分けます。

 親の希望でなく、子どもが「絶対にこの学校に通いたい!」と思えるように親が仕組みを作り、上手に導く必要があるのです。

 勉強が得意な子であれば、その中学校の大学進学実績を調べて子どもに教えてあげたり、スポーツが得意な子の場合はスポーツ実績を調べて「こんな有名な選手がいたんだよ!」と教えてあげるなどです。

 子どもが興味を持った学校を見つけたら、学校訪問・学校説明会・オープンキャンパス・文化祭に参加しましょう。

 子どもには「この中学校で3年間過ごす自分の姿を想像するように」と伝えておきます。

 すると、子どもが主体性を持って学校の設備、先生の人柄や教え方、生徒の雰囲気などを観察するようになります。

 子どもが「行きたい!」と思える学校を見つけたら、その学校の在校生や卒業生と話をする機会も作ってあげてください。

 塾の先生、学校の先生などに相談すれば、誰か一人は見つかるはずです。子どものモチベーションを上げる一番の方法は身近なアイドルを見つけてあげることです。

「この先輩みたいになりたい!」と思わせることができれば、本気で勉強するようになります。子どもが受験を決めたら、親も最大限のサポートをしましょう。

 受験勉強を塾や子ども任せにしてはいけません。親も受験するという覚悟で挑んでください。

公立中学を選ぶ場合

 公立中学については、公立小学区を参考にしてください。

 すなわち学区にある学校が子どもの個性や学力や能力に合わないと判断した場合は、越境・引っ越しを視野に入れましょう。