“立教大進学枠100%”の「香蘭女学校」が男女別学を大切にする理由香蘭生にはなじみ深い、中庭に立つ丸みを帯びたクスノキ

創立から135周年。立教大学系属校として、2024年度卒業生からは生徒全員分に相当する内部進学枠を確保することになった香蘭女学校。麻布、白金から現校地までの長い歴史の中で培ってきた女子教育の優れた部分とは何だろう。(ダイヤモンド社教育情報、撮影/平野晋子)

“立教大進学枠100%”の「香蘭女学校」が男女別学を大切にする理由

鈴木  弘(すずき・ひろし)
香蘭女学校中等科・高等科校長

 

1952年生まれ。76年東京学芸大学卒業後、数学科教員として立教中学校に。2009年立教池袋中学校高等学校校長を経て、17年より現職。私立中高協会常任理事、東京私学財団理事、Canadian International School常務理事、立教大学評議員、聖路加国際大学評議員。

 

 

 

立教大内部進学枠100%に

――香蘭女学校に着任してからどのくらいになりますか。

鈴木 7年目です。その前の42年間、男子中高一貫校の立教池袋にいました。入った時は中学校のみで、高校からは新座に生徒は進んでいましたが、2000年度からそれぞれに高校と中学を付設することで、別々の中高一貫校として互いに競い合うようになりました。

 香蘭の校長職を打診された時、男子校の経験しかなかったため、最初は無理ですと断りました。しかし、いまは来て良かったと思います。校長の任期は1期4年です。立教池袋では2期8年務めましたが、こちらでも来年で8年目になります。

――今回、学則定員と同じ160人分の立教大への内部推薦枠を得たことが話題になっていますが、そこに至るまでにはどのような経緯があったのでしょうか。

鈴木 24年度から100%相当となりますが、私が着任した時には80人と50%相当でした。それが、立教大での長い間の卒業生の活躍が評価され、20年度から60%相当の97人となりました。内部進学枠が増えると、成績下位層が入ってくるのではと大学側が懸念するのは当然です。いわゆる付属校問題です。

 しかし、その点、本校では以前から推薦のための学内のハードルは高く、50%から60%に増えた時も、以前に比べて、立教大学から内部進学者の質が下がったという報告は一切ありませんでした。

――立教大では、英検2級以上をクリアーすれば入れるようになっていると思いますが。

鈴木 英検2級が最低限のベースになっていて、他の検定試験なら何点がそれに該当するという換算をしています。それ以外にも、学内でいろいろなハードルを設けています。立教大の学部学科ごとに受け入れ枠があるので、成績の良い順に進みたいところを選ぶ仕組みです。キリスト教の学校なのですが、そこでは競争原理が働きます。

――高大連携という点ではいかがですか。

鈴木 立教池袋の時には道路の向いが大学でしたから、授業を大学の先生に相当受け持ってもらえました。本校の立地ではそうはいきません。しかし、立教新座や立教女学院よりも早く、内部推薦の合格が決まるので、そのギャップを利用して、生徒の大学進学に向けての心構えや準備について、大学の先生方、特に立教サービスラーニングセンターの力をお借りした高大連携プログラムを実施しています。

――へえ、そうなんですか。

鈴木 高3の夏休み前、7月には、学部学科は別として、大学の内部推薦のラインに達しているかが判明します。

 高3は、2学期から他校受験生も含め進路に合わせた丁寧な対応が増えて行きます。3学期には立教大学の先生に来ていただき、高大連携プログラムが始まります。立教大学の歴史やアイデンティティをはじめ、基本的な「大学って何なの」から始まり、わくわくするような最先端の研究の面白さも語っていただいています。

“立教大進学枠100%”の「香蘭女学校」が男女別学を大切にする理由緑豊かな環境に立つ低層の本校舎と広々とした校庭