ランキング上位は西日本が優勢に

 ここからは、「国公立大合格力ランキング」を「全大」、「国公立20大合格力ランキング」を「20大」と略す。日本を代表する進学校を「東大合格率」という観点で見た内容は、第164回に掲載したので合わせてご参照いただきたい。これら全国トップ水準の進学校の卒業生概数には2倍以上の差があるため、合格者数ランキングだけでは、その学校の「合格させる力」が必ずしも反映されていないきらいがあると考えた。

 全国レベルで名前が挙がる進学校の場合、進学先によって三つのタイプに分けられる。一つは東京大や京都大を筆頭に大都市圏の難関大や医学部医学科に多くの卒業生を送り込む「全国志向タイプ」である。二つ目は地方公立高校に顕著で、ランキングにも多く顔を見せている「地元志向タイプ」である。所在地の国立大が最優先で、もしくはエリアにある旧帝国大が目標となる。三つ目は特に関東に多く見られる「難関私学タイプ」で、合格者数も実際の進学者数も早慶やMARCHが過半を占めている。

 こうしたタイプの違いは、中高一貫校や高校の偏差値だけを見ても判然とはしないだろう。今後、順次公開する各「合格力ランキング」で実感してほしい。

 同じ兵庫県内にある男子中高一貫校である灘と甲陽学院は、全大でも20大でも合格力は1位と2位で変わらない。国公立大合格率を比べると、灘92.7%に対して甲陽学院は92.8%とわずかに上回っている。この逆転が生じた理由は、合格者数の多い国公立大を1位から5位まで比べることで分かる。
 
 灘は東京大86人、京都大45人、大阪公立大13人、大阪大12人、神戸大と奈良県立医大が6人ずつなのに対して、甲陽学院は京都大47人、東京大36人、大阪公立大22人、神戸大18人、大阪大14人と、東大への力の入れ具合に大きく差がある。この2校は、東京大を筆頭とする全国志向と京阪神中心の地元志向の代表的なタイプとなっている。
 
 全大・20大ともに4位の久留米大学附設は、いまや福岡県のみならず、九州を代表する全国志向のトップ進学校といえる。共学の私立一貫校としては、渋谷教育学園の2校(幕張・渋谷)や西大和学園と比肩する存在だ。

 ベスト10には他に三つの男子中高一貫校が含まれている。中でも、全大6位・20大3位の国立唯一の男子校である筑波大学附属駒場は、東京のトップ校というだけではなく、全国でも頭抜けた合格力を誇る存在である。タイプとしては地元志向となるが、東京大合格率がダントツの54.4%(灘は39.1%)で同じ最寄り駅の東京大駒場キャンパスに卒業生の半分強が進学している。

 全大5位・20大9位の東大寺学園と全大7位・20大5位の大阪星光学院は、兵庫の2校と共に関西男子校の雄である。合格者数の多い国公立大を比べると、東大寺学園は京都大64人、東京大18人、奈良県立医科大16人、大阪公立大11人、神戸大10人なのに対して、大阪星光学院は京都大56人、大阪公立大20人、東京大16人、神戸大15人、大阪大11人といった具合で、まずは京都大という目標が際立っている。
 
 公立校では、全大3位・20大6位の京都市立堀川、全大8位・20大23位の兵庫県立姫路西、全大9位・20大7位の熊本県立熊本、全大10位・20大17位の北海道札幌北がベスト10入りした。詳しくは次回で取り上げるが、各校で一番多くの合格者が出ている国立大を挙げておくと、京都大59人、岡山大40人、九州大69人、北海道121人となっている。

 全大10位には兵庫県高砂市の私立中高一貫共学校である白陵が入っている。20大は28位で、合格者数が多い国公立大は神戸大17人、東京大と京都大が16人ずつ、大阪大14人、大阪公立大9人で、バランス良く散らしている印象である。

 全大の12位から先も見ておくと、私立の中高一貫共学校では全大15位・20大10位の西大和学園、同男子校のラ・サール(鹿児島)が全大24位・20大22位にあるくらいで、残りはすべて公立校なので、次回に譲ろう。