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為替市場透視眼鏡

15年に1ドル=115円を想定
“悪い円安”に転落するか土俵際

田中泰輔(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー)
2013年3月19日
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 円安と株高の好循環が続いている。日本銀行は黒田東彦新総裁を迎えて「これまでの次元を超えた」金融緩和に踏み出そう。ただし、量的緩和それ自体のマクロ経済的効果は限られる。米景気回復という追い風がなければ、日本の景気も物価も容易には浮揚できない。ただ幸いなことに、米経済は順調に自律回復しつつある。それに沿ってドル高・円安地合いが続くことで、日本の消費者物価指数(CPI)もじわりと高まる。

 実はドル円の長期トレンドは、日米の購買力平価(PPP)に沿って推移してきた(グラフ参照)。日本のインフレ率はこれまで趨勢的に米国を2%程度下回っていたため、ドル安・円高が基調として続いた。もしアベノミクスが奏功して今後2年程度で日本のCPI上昇率が1.5%へ上昇するなら、米CPIもまた3%かそれ以上になる可能性が高い。PPPは円高方向の右下がりのままだろう。

 過去、ドル円の景気循環に沿った変動はPPPを中心に上下20~30%程度であった。今後ドル円の上昇がPPP(=75~80円)から30%上方までとして、2015年に100~105円とのめどは十分妥当性のあるシナリオの一つだ。安倍相場によってすでに90円台後半に至っているため、15年の105円は随分控えめに思えよう。過去の例では05~07年の展開と似ているかもしれない。このとき、ドル円は05年に101円から121円に急伸したが06~07年のピークは124円にとどまった。

 もっとも、15年に110~125円に至る可能性が無視できなくなっている。最近の円高トレンドは07年から5年続いた。過去の循環変動の例では、1990~95年の5年間に160円から79円へ円高となり、その後98年に147円まで円安になった。

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FX、外貨投資家のニーズに応えた為替投資家向けコラム。執筆には第一線のエコノミストを迎え、為替相場の動向を分析、今後の展望を予測する。

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