「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。

税務署が「ボーナス」を厳しくチェックする意外な理由Photo: Adobe Stock

「役員への決算賞与」に注意!

 税金逃れに目がくらんで一線を越えてしまったら、それはもう「脱税」という名の犯罪。本日ご紹介する税金対策は、絶対に手を出してはいけないものです。

 それはずばり「役員への決算賞与」。決算賞与とは決算期に出すボーナスのことです。

 従業員への決算賞与は、「事業年度終了までに支給額を全従業員に通知すること」「通知した金額を事業年度終了日の翌日から1ヵ月以内に全額支給すること」「通知した金額を当期の経費として処理すること」の3要件を満たせば損金算入できるのですが、役員への賞与は、原則として認められていません。

 役員への賞与は「事前確定届出給与(いつ、いくら賞与を支給するかをあらかじめ届け出ておき、その通りに支給する)」を使うのが大前提です。

 会計年度の最初の4ヵ月目、もしくは株主総会から1ヵ月を経過する日のいずれか早い日までに、金額と支給時期を税務署に届け出たうえで、届出通りに支給する場合は、役員賞与を損金計上することができるのです。

 一方で、「今年は利益が多いから自分や役員にボーナスを出そう!」というのは絶対にNGなのです。届出をせずにボーナスを出してしまった場合、支給した全額が会社の損金として認められず、社長は給与扱いになるため、税負担はかえって増えます。

(本原稿は『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』から一部抜粋、追加加筆したものです)