台湾総統選は「緑藍接戦」、民進・頼氏の「逃げ切り」を脅かす国民・侯氏急伸の理由Photo:PIXTA

野党統一候補工作破局で「三つどもえ」
民進・頼氏、支持率僅差トップだが

 蔡英文総統の後継を決める台湾総統選が12月15日に告示され、与党、民主進歩党(民進党)の頼清徳候補(副総統)と最大野党、国民党の侯友宜候補(新北市長)、中間派で第三勢力の民衆党の柯文哲候補(前台北市長)の3氏が立候補した。

 野党統一候補擁立の動きとその協議の破綻、世界最大の電子機器製造受託メーカー、鴻海集団の創業者の郭台銘氏が無所属での出馬に直前まで動くなど注目されてきたが、結局は3候補の争いになった。

 各種世論調査によると選挙情勢は、中国の対抗姿勢を取り米国との連携を強める民進党の頼候補を、対中関係改善を主張する国民党の侯候補が激しく追い上げるデッドヒートが続き、スキャンダルなどの変数の発生がなければ、頼候補が「逃げ切り」を図る構図が見える。

 だが、2期続いてきた民進党政権の継続を求める機運は弱い上、国民の関心は中国との関係を巡る「両岸問題」よりも経済や格差問題に向いている。

 来年1月13日の投票日に合わせて、中国が台湾への優遇関税停止を打ち出すなどの「選挙介入」の動きも予想されているが、仮に介入があってもそれがどういう影響を及ぼすかもはっきりしない。波乱含みの選挙だ。