変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。

「言語化が苦手な人」に共通するたった1つの特徴Photo: Adobe Stock

言語化能力が大切な時代

 私たちのコミュニケーション手法は、この数十年で大きく変わりました。Eメールやチャットが登場したことで、文字でのコミュニケーションが頻繁に交わされるようになりました。

 また、コロナ渦でリモートワークが一般的になったことにより、ウェブ会議も頻繁に行われるようになりました。

 さらに、グローバル化が進展したことによって、海外の人たちとコミュニケーションを取る機会も増えました。

 このような時代には、正確に言語化して相手に伝える能力が極めて大切です。

阿吽の呼吸に頼っている
言語化ができない人

 日本人ばかりのモノカルチャーで形成される共同体に属していると、ハイコンテクストなコミュニケーションが成立します。そのような日本の組織では、言語化をしなくても仕事を進められるという特徴があります。

 そして、その環境に慣れている人たちは得てして言語化を苦手としていて、阿吽の呼吸に頼っているという特徴があります。

 身内だけで現場のオペレーションを回すのであれば、それでもいいかもしれませんが、外部の人たちと連携してイノベーションを起こすには、言語化をしなければコミュニケーションが成り立ちません。

日ごろから文章に書き起こす練習をする

 では、どうすれば言語化能力を高めることができるのでしょうか。そのためには、日ごろから考えたことを文章に書き起こす練習をする必要があります。

 たとえば、ビジネス書を読んだら、そこから得た学びを文章に書き出してみましょう。あるいは、上司に言われたことで不快感を持ったら、何を不快に思ったのかを具体的な文章に書き出してみましょう。

 その際には「3分で10個書き出す」というように、制約を設けるといいでしょう。人間はこのような制約があると集中して物事に取り組むことができます。

「アジャイル仕事術」では、さまざまな人たちと連携して成果を出すための具体的な方法以外にも、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)が初の単著。