変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。

誰もついてこない「時代遅れの上司」に共通する口ぐせPhoto: Adobe Stock

「昔はこうだった」という幻想

 皆さんの周りには、「私が若いころは〇〇だった」「なんで今の若い子は〇〇すらできないのだろう」と言っている上司はいないでしょうか。そのような上司には、誰もついてはいかないでしょう。

 なぜならば、そのような上司は環境が常に変化していて、昔の常識が通用しなくなっていることにすら気づいていないからです。

 誤解がないように敢えて補足すると、環境の変化があることも理解した上で、今の時代に合わせた有効なアドバイスをくれる上司もたくさんいます。

根拠がない全能感

 問題なのは、時代が変わったことにも気づかず、根拠のない全能感を持っている上司です。そのような上司は、若者の話をちゃんと聞かずに、ただ自分の意見を押し付けてくることでしょう。

 自分が正しいと思っていると、人は他人の意見を聞き入れることをしなくなります。

 一方、還暦を過ぎても成長しているような人たちは、若者、馬鹿者、よそ者の意見を大切にしています。

答えは
いくつあってもいい

 私たちは学校教育の中で、たった1つの答えを探すための教育を受けてきました。しかし、世の中で起きている問題には何通りもの答えがあります。

 同じ問題に対して、アメリカ人とシンガポール人と日本人とでは、異なる答えを出すかもしれません。同じ日本人であっても、東京で育った人と地方都市で育った人とでは、問題のとらえ方が違うこともあるでしょう。

 答えのない時代には、多様な意見を受け入れて判断することが大切です。それができない上司の元からは、いずれ誰もいなくなるでしょう。

「アジャイル仕事術」では、さまざまな人たちと連携して成果を出すための具体的な方法以外にも、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)が初の単著。