生成AIの活用は、生産性向上や業務効率化にブレークスルーを起こす鍵を握るが、効果的な活用方法の探求に加え、セキュリティやガバナンスの課題も立ちはだかる。2017年にパートナー契約を締結して以来、安全かつ効率的なビジネスソリューションを幾つも共創してきたBox Japanと日本電気(以下、NEC)は、生成AIについても両社の知見と技術を融合させ、これらの課題を克服する革新的なソリューションを生み出そうとしている。

生成AIをビジネスで活用する上での課題とは

「生成AIに始まり、生成AIに終わる」――。と総括してもよいほど、2023年にテクノロジー領域の話題を席巻した「生成AI」。まるで人間のように、ウェブ上にある情報から文章や画像、プログラムなど、さまざまなコンテンツを高いレベルで創造できる力を備えていることが、人々に大きな衝撃を与えた。

 ビジネスの現場でも、ウェブ上や膨大な社内データベースの中から、必要な情報を瞬時に集め、プロンプト(質問)に対する“答え”を理路整然と書き出してくれること。さらに、それを要約、翻訳し、企画書やレポートとしてまとめてくれる利便性の高さが注目され、業務効率化や生産性向上のための新たな手段として、徐々に利用されるようになってきた。

 しかし、生成AIを自社のビジネスにどう活用すればよいのか、いまだ多くの企業が模索中だ。生成AIを応用したビジネスソリューションや活用事例はまだ乏しく、より効果的な使い方や、業種・業務ごとに合った活用方法の創出に向け、試行錯誤が重ねられている。

 一方、生成AIをビジネスで活用する上では、セキュリティやガバナンスをどう担保するかという問題もある。参照する情報の“範囲”をウェブ上の情報や外部データにまで広げると、著作権侵害や情報の信頼性不足といった問題に直面せざるを得なくなる。そうしたリスクを回避する動きが、ビジネスにおける生成AI活用を足踏みさせていることは否めない。

 次ページからは、生成AIをビジネスに活用する際のネックになっている「参照する情報の範囲」を制御するBoxのAIソリューションと、高い日本語性能を持つ大規模言語モデル「cotomi(コトミ)」を開発したNECの生成AIサービスへの取り組み、そして、それらがなぜ生成AIのビジネス活用をさらに広げる上で重要になっていくのかを詳しく紹介する。