頭のいい人は、必要な情報をどのように整理し、仕事や勉強にうまく活かしているのでしょうか? 1000人以上の東大生のノートを分析してまとめた『「思考」が整う東大ノート。』の著者であり、現役東大生の西岡壱誠氏は、頭のいい人は情報を整理する「要約」の仕方にコツがあると言います。本記事では、西岡氏に「要約力」について話を聞きました。

頭のいい人に共通する「情報整理のコツ」とは?Photo: Adobe Stock

頭のいい人は「要約」できる

頭のいい人がやっていることとして挙げられることに、要約が挙げられます。

東大の入試問題でも英語・国語ともに出題されていますし、東大に入ってからも論文や書籍の要約が課題になることも多いです。それ以外にも、相手の話を聞いて「要するにそれって、こういうことだよね?」と説明できる人は頭がいい人というイメージがあると思いますし、情報を整理して大事な部分だけを抜き出して覚えている人は多くの知識を頭に入れることができます。

要約力が、知識量・学力・読解力といった能力に直結するのです。

あなたはどう要約しますか?

たとえば、みなさんが本を読んでいて、こんなことが書いてあったとします。

「返報性の法則」があります。これは、人間が持つ罪悪感を利用したテクニックです。
人間は、「もらったものは返さなければならない」と感じてしまいます。
たとえば、試食品をタダでもらったときに、なんとなく罪悪感が湧いて「こちらも何か返さなければならないのではないか?」と思って、つい食品を買ってしまう人もいるでしょう。
同じように、人間は何かをもらったらお返ししたいと思うという精神性があるのです。
これを利用して、まずは相手に対してタダでこちらから情報や物品を渡すのです。
たとえば相手の出身が聞きたいときは、まず自分が「〇〇県出身なんです、あなたは?」と聞いた方が、相手も答えなければという気持ちになります。
このように、こちらが先に渡すことで、相手の方から欲しい情報をもらったり、欲しいものをもらうことができる場合があるのです。

ここに書かれている内容を、自分も使えるようになりたい! と思ったら、みなさんはどうしますか?

おそらく、この文言をそのまま丸暗記する人はほとんどいないと思います。本当に重要な部分のみを抜き出して、頭の中に「要するにこういうこと」とストックすると思います。

そして、このときに重要なのは、自分にとって」重要だと思ったポイントを抜き出さなければならないことです。他人ではなく、自分自身が、ここが重要である、と思ったポイントを抜き出さないと、結局あとから自分で整理することはできないのです。

「正しさ」より
「自分のおもしろさ」を優先してまとめる

今回の場合、みなさんは「返報性の法則」の中の、何を重要だと捉えましたか?

みなさんが何を重視しているかはわからないので、厳密には正解はないのですが、こんなノートが考えられると思います。

返報性の法則:相手から情報が欲しいときに、先にこちらから情報を開示する方が、成功率が高いということ。
例:相手の情報が欲しいとき→自分の情報を先に伝える

このまとめ方が正しいかはわかりませんが、正しいかどうかはあまり重要ではありません。

自分が、どういうポイントがおもしろいと思い、そしてどんなタイミングでその知識を使えると判断するのかの方が重要です。普段からこのように、重要だと自分が考えたポイントをメモしておく習慣を作ると、頭がよくなると思います。

東大生の中には、紙でメモするのが億劫だということで、スマホのメモ帳に書いている人もいますし、自分1人だけのLINEグループを作って「今日の学び」というグループ名にして投稿しているという人もいました。このように、デジタルに頼りながらもしっかり要約していくことは重要だと言えるでしょう。