2024年1月からついに開始された「新NISA」。この機会をきっかけに投資をはじめてみようと考えている人も多いのではないだろうか。そんな新NISAは、実は初心者が投資をはじめるのに最適な制度と言える。だが、落とし穴がないわけではない。目先の利益に執着してしまったり、経済の動向を見て焦って投資をやめてしまったりする人も少なくない。
そんな課題を解決するために発刊されたのが『新しいNISA投資の思考法』だ。本書はこれまで37万人の資産運用を見続けてきたウェルスナビ・CEOの柴山和久氏が投資に必要な考え方を1冊にまとめたまさに決定版だ。本記事では本文の一部を抜粋してお届けする。

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お悩み:退職後のお金を今のうちから貯めておきたい

 今回は一般的だと思われる事例を通して、NISAの活用方法を解説する。

今回のケース

45歳男性Mさん
家族構成:40歳の妻

資産運用に興味を持ったきっかけ

 Mさんの夫婦は共働きです。家賃や食費、光熱費などのお金は共通の口座で管理し、あとはそれぞれ自由にお金を使っています。

 いまは通勤に便利な都市部に住んでいますが、退職後は緑が豊かな場所に引っ越し、自分たちの理想とする住宅を建てたいという夢があります。現在、600万円程度の貯蓄がありますが、60歳までに追加で1200万円程度を貯めたいと考えています。

資産運用(NISA)を始めるまで

 Mさん夫婦は、10年前に結婚してから、毎月5万円を貯蓄にまわしてきました。あと15年で、いまの貯蓄(600万円)の倍の金額を貯めようとすると、ペースを上げなければなりません。しかし、これから収入が大きく上がることは、あまり期待できそうにありません。

 そんなときに、テレビで、最近、特に若年層で投資を始める人が多いというニュースを見ました。投資というと、両親がバブル経済のときに損をしたという話を聞いて以来、避けてきました。ただ、いまの若い人は、海外に分散して賢く資産を増やしているとのことです。

 翌日、Mさんの職場で、30代前半の同僚に投資をしているか聞いてみました。すると、数年前からNISAという制度を使って、世界全体の株に分散する商品に投資をしているそうです。利回りは好調で、預金に比べるとかなり増えていると聞きました。

 家に帰ってから妻と話し、同僚に教えてもらったのと同じ証券会社、商品で、NISAを始めてみることにしました。まずは月5万円の貯蓄から2万円をNISAでの積立にまわしてみます。様子を見て、銀行口座の貯蓄からも、NISAにまわしてみることを考えたいと思います。