リターンが大きくマイナスになったとき、人はどう感じる?

 では、リターンがマイナスの場合を考えてみましょう。リターンがゼロから離れていくとストレスを感じにくくなる、というのは、リターンが大きくマイナスになった場合も当てはまります。

 リターンがマイナス20%になり、そこからさらに1日で3%減少したとします。その場合でも、やはり一喜一憂しないばかりか、資産が減少していることに気づかないことすら多いのです。

 このことは、なんとなく想像がつくのではないでしょうか。リターンが大きくマイナスになると、一種の諦めの境地に入ってしまい、そこから資産がわずかに増えたり減ったりしても、一喜一憂することはありません。株式投資で大きな損失を被った後、売却せずに、塩漬けにして放置している方が多いのもこれが理由です。

 このように、リターンがゼロから遠ざかる場合には、それがプラスに遠ざかる場合でも、マイナスに遠ざかる場合でも、一喜一憂しなくなります。

 逆に、リターンがゼロに近いときには、わずかな資産の増減に私たち人間の脳は一喜一憂しがちになります。長期投資を始めたばかりのときには、まだ慣れておらず、不安を感じています。まさにそのタイミングで、小さな相場の動きに一喜一憂し、大きなストレスにさらされることになります。このため、長期投資に挫折する第一の罠は、長期投資を始めたばかりのタイミングで訪れるのです。