1、2月と続くインフレ率の上振れに「過剰反応はしない」と静観の構えを見せた3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長に対し、米株式市場は上昇という形で万雷の拍手を送ったようだ。パウエル議長は米景気・雇用の強さを軽視してはいないのか。(みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部プリンシパル 小野 亮)

インフレ見通し上振れもFOMCは
年内3回の利下げ予想を維持

 3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、最近のCPI(消費者物価指数)統計に見られるインフレ率の上振れに対して顕著な警戒感の強まりを見せることはなかった。

 市場参加者の間で最も関心を集めていたとみられる、ドットチャート(FOMC参加者による政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準予想)が示す年内の利下げ幅(現状水準と参加者の予想値の中央値との差)は、前回12月と同様の0.75%(通常は1回につき0.25%なので3回の利下げに相当する)となった。

 まず、声明文では雇用情勢の強さを強調する最小限の修正が施されただけにとどまり、最近のインフレ率の上振れに関する文言はない。

 次に、声明文と同時に発表された物価見通しでは、2024年末のコアインフレ率が前年比2.4%から2.6%へと0.2ポイント上方修正されたが、12月会合から足元までの実績を反映したゲタ(編集部注:直近の水準がそのまま続いたと仮定した場合の上昇・下落幅)に相当する修正幅にとどまった。

 FOMC参加者が、最近のようなインフレ率の上振れが今後も続くとは考えていないことの表れである。その結果、「26年末までのインフレ2%達成」という見通しも維持された。

「物価安定への道は外れていない」という物価見通しと整合的なように、米政策金利については前回と同様「24年内は3回相当の0.75%の利下げ」というシナリオもそのままで、米株式市場は歓喜に沸いている。

 しかし、ドットチャートやFOMCの経済・物価見通しを子細に見ていくとそのシナリオの危うさが浮かび上がる。次ページ以降、検証していく。