東京・大阪の私立高無償化や塾代補助、“金持ち自治体”の教育支援に「大義」はあるか写真はイメージです Photo:PIXTA

大阪府は4月から高校完全無償化
広がる自治体の教育支援策、単純に喜べない

 4月から大阪府で高校授業料の無償化が始まる。国の支援制度でも公立高校の授業料相当額の支援金が給付され、私立高校の生徒には加算措置もあるが、金額に上限があり、世帯収入が一定以下でないと対象にならない。

 大阪府の政策は、高所得世帯の私立校生も含めて完全無償化を実現しようとするものだ。

 東京都にも私立高校生向けの追加支給措置があり、2024年度から所得制限が撤廃される。都は私立中学に通う生徒にも助成金を支給している。このほか大阪府や東京都は域内の公立大学の無償化も進めており、東京都や大阪市は受験生の塾代の支援まで行っている。

 自治体による教育支援は歓迎する人が多いが、そこには手放しで喜べない面もある。

 自治体の政策には、国の政策以上に政治的意図が働きやすい。財政力のある大都市の自治体が自由に政策を展開すると、教育機会の平等がむしろ阻害され、公教育の空洞化に拍車がかかる可能性がある。