<正解>

 2000年4月16日

 14~15歳向けの数学の問題として2015年に登場した「シェリルの誕生日」という超有名な問題がありました。
「難しすぎる」と世界中で評判になった話題作ですが、こちらの「チャーリーの誕生日」は、その進化版。
 発表したのは、米国最高峰の頭脳が集まるNSA(米国国家安全保障局)です。
 シンプルに見える状況ですが、さまざまな多面的思考が必要になります。

「Bはわからない」と、わかっていたA

 この問題、考え方自体はとてもシンプルです。
 3人の会話の内容をふまえて、示された「14の候補」の中から正解を絞り込んでいくだけです。
 しかし発言の内容は、「わからない」ばかり。
 よって、

「わからない」という発言から、わかること。

 これを見抜いていく必要があります。
 では、一人ひとりの発言から何がわかるのか、考えていきましょう。

 “A「私はわからないけど、Bもわかっていないよ」”

 14の候補のなかで、1つしかない日付があります。
 それは「19日」です。
 もし正解が「19日」なら、Bは正解の日付を聞いた瞬間、即座に「2000年2月19日」が正解だとわかります。

 しかし、正解の「月」を知るAは「Bもわからない」と言ってのけた。
「日付だけで特定できる可能性がない」と知っていたからです。
「19日」が答えになりようがない、つまり、

「2月」が正解ではないと知っていたということです。

 よって、正解の月は「2月」ではないことが判明します。
 候補の中から「2月」を含む選択肢が3つ消えました。

Bが「わかった」と言わなかったからわかったこと

 現在の候補:
 1990年4月14日
 2000年3月14日
 2000年3月15日
 2000年4月15日
 2000年4月16日
 2001年3月15日
 2001年4月14日
 2001年4月16日
 2001年5月14日
 2001年5月16日
 2001年5月17日 

 次に、Bの発言を考えてみましょう。

 “B「そうだね。Cもわかっていないよ」”

 なんの変哲もないこの発言が、本問における難関となります。
 発言の内容を考える前に、見落としてはいけないポイントがあります。
 それは、Bが「そうだね」と言っているということです。

 BはAに「あなたにもわからない」と言われたことで、「2月」が選択肢から消えたことに気づいているはずです。
 それでも、答えを特定できませんでした。
 つまり、現状の選択肢においても「日付だけで特定できる日」は正解ではないということです。

 残っている候補のなかで「17日」は1つしか登場していないため、もし正解が「17日」なら、BはAの発言を聞いて正解を特定できます。
 それができなかったということは、候補から「17日」が消えます。

「Cはわからない」と、わかっていたB

 現在の候補:
 1990年4月14日
 2000年3月14日
 2000年3月15日
 2000年4月15日
 2000年4月16日
 2001年3月15日
 2001年4月14日
 2001年4月16日
 2001年5月14日
 2001年5月16日

 では、もう一度Bの発言に戻りましょう。

 “B「そうだね。Cもわかっていないよ」”

 Bは、「Cにはわからない」とわかっていた。
 この発言の考え方は、最初に考察したAの発言と同じです。
 候補のなかには、「年」がわかるだけで特定できる選択肢があります。
 それは、14の候補のなかで1つしかない「1999年」。
 つまり正解が「1999年」なら、Cはこの時点で正解がわかります。

 しかしBは「Cにはわからない」と断言しました。
「年だけで特定できる可能性がない」と知っていたからです。
「1999年」が答えにはなりえない、つまり「14日」が正解ではないと知っていたのです。

 よって、正解の日付は「14日」ではないことが判明します。
「14日」を含む選択肢が候補から除外されます。

「Aはわからない」と、わかっていたC

 現在の候補:
 2000年3月15日
 2000年4月15日
 2000年4月16日
 2001年3月15日 
 2001年4月16日
 2001年5月16日 

 次に、Cの発言を考えてみましょう。

 “C「うん、わからない。でもAもまだわかっていないよ」”

 ここまでのAとBの発言により、候補は6つまで絞られました。
 ですが、「年」だけで特定できるものはないため、Cにはまだ正解はわかりません。

 一方で、「Aもまだわからない」と発言しています。
 これは、「Aが正解の月を知っていても、まだ特定できない」と、Cが知っているということです。
 月を知っているだけで特定できる選択肢は「5月」です。
 もし正解が「5月」なら、Aはこの時点で正解を特定できます。
 しかしCが「Aもまだわからない」と断言したということは、答えが「5月である可能性はない」と知っているということです。
 つまりCは、正解の「年」が「2001年」ではないと知っていたのです。

 よって、正解の年は「2001年」ではないことが判明します。
「2001年」を含む選択肢が候補から除外されます。

 現在の候補:
 2000年3月15日
 2000年4月15日
 2000年4月16日 

 ここまでくれば、もう簡単です。
 次の、Bの発言を見てみましょう。

 ”B「あ、わかった」”

 候補が3つに絞られた段階で、「日」を知るBが正解を見抜きました。
 つまり候補リストの中で「日」が1回のみ登場する日付が正解です。
 以上より、チャーリーの誕生日は2000年4月16日です。

「思考」のまとめ

 最初の考え方さえわかってしまえば、あとはその繰り返し。
 難易度のわりに、考え方は意外とシンプルでした。

 ネックになるのは、最初の「Bもわかっていない」と断定したAの発言です。
 ここで、「なぜAには断定できたのか」を考えられるかどうかが最大のポイントでした。

「わからないことが、わかっている」ということから、わかることを考える。
 その視点さえ得られたら、難しい問題ではなかったと思います。

 ・発言の内容だけでなく、その発言の背景や、発言者の脳内にある情報にも着目すると別のヒントが見えてくる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。