大震災から2年目の「今」を見つめて
【第12回】 2013年4月5日
著者・コラム紹介
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新エネルギー政策の全体像提示に
避けては通れない三つの要因
――植田和弘・京都大学大学院経済学研究科長・経済学部長

日本のエネルギー政策はいかにあるべきか――。その方向性を見定めるには、エネルギー政策の方向性を左右する要因を明らかにしておく必要がある。その要因とは何だろうか。こういう問いに対しては、これが決定的な要因だといった、何か1つの答えを用意したくなる。そして、実際に決定的と思える要因をいくつか挙げることができるが、本稿では三つの要因を取り上げる。

シェールガス革命を発端に
世界のエネルギー事情は激変

うえた・かずひろ
1952年、香川県生まれ。京都大学大学院経済学研究科長・経済学部長。京都大学博士(経済学)、大阪大学工学博士。97年、京都大学大学院経済学研究科教授。2002年、同大学地球環境大学院教授兼任。政府の「総合資源エネルギー調査会総合部会」委員、大阪府市「エネルギー戦略会議」座長。著書に「国民のためのエネルギー原論」(日本経済新聞出版社)など多数。
Photo by Masato Kato

 第一の要因として挙げられるのが、いわゆるシェールガス革命である。

 シェールガスの生産コストが低下し商業化したことで、天然ガスの可採埋蔵量が現状約60年分といわれていたのが約120年分と倍増するという。

 その結果、これまで化石燃料の大量輸入国であった米国が、2020年頃には天然ガスの純輸出国に変わると予測されている。米国ではシェールオイルも産出するので、関連製造業の復活すら起こり始めている。米国が化石燃料を中東に依存していたために生じていた政治的・軍事的諸問題にも激変が起こるであろう。

 シェールガス革命が、エネルギー需給関係だけでなく、より広くエネルギーに関する政治的経済的状況に対して、いつ頃、どの地域に、どの程度の影響を及ぼすことになるのか。このことをどう見通すかは、単なる予測の問題ではなく、日本のエネルギー政策の背景を理解し、前提条件を設定する際に欠かせない作業でもある。

 2000年以降ほぼ一貫して上がり続けてきた化石燃料の価格(石油価格でみると2008年は2000年の約5倍である)動向への影響が特に注目されるが、2008年以降、米国の天然ガス価格は低位に推移し、現状では日本のガス価格との差が顕著になっている。

 しかし、シェールガス革命の影響は米国内にとどまるものではない。米国で天然ガスと石炭の相対価格が変化し、天然ガスが石炭にとってかわったために、米国産の石炭が安値でアジアやヨーロッパに輸出されるなど、すでにグローバルな影響が表れている。

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大震災から2年目の「今」を見つめて

 この3月で東日本大震災から丸2年が経つ。被災地の報道も極端に少なくなり、当時、固く誓ったはずの「絆」「被災地に寄り添う」と言った言葉も、なぜがむなしく響く。復興はどこまで進んだのか、明日に向かうための課題は何か、そして忘れされれつつある事実はないのか。震災後2年目の「今」を見つめ直す。

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