「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」――そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。
何の本をどう読み、どう活かしていくか――働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。

本を読まない人が劇的に変わった「決定的なひと言」Photo: Adobe Stock

読書や学習に関して頻繁にもらう「ある質問」

 読書や学習にまつわる本を何冊も出していると、様々なバックグラウンドを持つビジネスパーソンの方から、数多くの質問や相談をもらいます。

 その中でも特に多いのが、「本を読んだり、学び続けることが大切だとわかってはいるのですが、日々忙しくしているとどうしても後回しになってしまい、最終的には継続できなくなってしまいます」というお悩みです。

 こうした悩みに対して「あらかじめ読書や学習の時間を確保する前提で、週単位のスケジューリングをしていきましょう」「読まざるをえない環境に身を置くべく、読書会や勉強会等に積極的に参加してみてはいかがでしょうか」「1日5分、数ページでOKなので、スモールステップを日々積み重ねていきましょう」など、質問者さんの背景や状況を鑑みながら、これまで私なりに応答をしてきました。

 もちろん、これらのメッセージもそれぞれに有効ではあるのですが、もう1つ、最も多くの質問者さんの行動が実際に変わった、そんな劇的な答えがあります。

「子どもにもっと本を読んで勉強してほしかったら、まずは自分が背中を見せなきゃダメですよね」「自分のためだけではなく、お子さんのためにも、読書や学習を頑張ってみてはいかがでしょうか」というメッセージです。

「自己完結を超えた視点」が持てると、継続できる

「うちの子は本を読む習慣がなくて」「なかなか勉強してくれなくて」と嘆いている子育て世代のビジネスパーソンにこの答えをお伝えすると、ほとんどの方が「頭を殴られたような衝撃を受けました、全くその通りですね」「言ってくださってありがとうございます、子どものせいにしていた自分が恥ずかしいでを」といって覚醒されます。そして実際に行動が変わり、本を読んだり学び続けたりする姿を家族に見せられるようになっていきます。

 あるいは、この話は「うちの社員は本を読む習慣がなくて」「部下がなかなか主体的に勉強してくれなくて」と嘆いているマネジメントや管理職に置き換えることも可能です。

 人に「読め、学べ」と言う前に、まずは「自分がどれだけ体現できているか」。あるいは、「どれだけそういった姿を見せられているか」について向き合ってみる。ほんの少しの視点移動ですが、たったこれだけで劇的な行動変容につながる場面を、何度も目にしてきました。

 忙しい日々のなかで、読書や学習を継続していくことは確かに大変です。だからこそ、それでも継続していくためには、今回のような自己完結を超えた視点が有効になってきます。

「自分のため」だけで頑張ることに限界を感じている人ほど、今回のメッセージが良いきっかけになりますように。

(本原稿は書籍『ひと目でわかる! 見るだけ読書』著者の書き下ろしです)