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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

合併で赤字が値下げ、黒字が値上げの水道料金の怪
水に流せないほど強まった北杜市への住民の不信感

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第67回】 2013年4月16日
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合併後に黒字の水道料金格差が大幅アップ
料金の不払いで問題提起を続ける住民

 「私たちは未払いではなく、不払いです。きちんとした(水道料金値上げの)説明を行政に求めているのですが、一向になされません。それで納得できないので、値上げ分の支払いを拒否しているのです。これは損得の問題ではありません」

 山梨県北杜市に住む山田虎男さんは、険しい表情でこう語った。八ヶ岳の南に広がる旧大泉村のご自宅を訪ねたときのことだ。

 山田さんは一昨年(2011年)3月から水道料金の不払いを続け、未納額は昨年9月分までで約2万6000円。今年2月に市から「給水停止執行予告通知書」が届き、給水を止められかねない危機に直面している。

 山田さんは「黒字のところが値上げされ、赤字のところが値下げというのは、どう考えても不合理。市は説明責任を果たしていない」と嘆きながら、水道料金不払いの顛末を語ってくれた。

 名水の里として知られる山梨県北杜市は、2004年11月に高根町や長坂町、須玉町、大泉村など4町3村が合併して誕生した。北杜市はその後(06年3月)小淵沢町を編入し、全国的にも珍しい2段階合併を実施した。人口約4万8000人(2005年国勢調査)ながらも、8町村による広域合併のため面積は山梨県内で最大となった。

 市町村合併は、関係自治体の数が多ければ多いほど協議が難航して、手間取るものだ。事務事業や料金の統一など、すり合わせる協議項目と格差が膨らむからだ。北杜市も例外ではなかった。

 北杜市にとって一番の悩みの種となったのが、水道事業だった。旧8町村ごとに水源や料金、水利権の状況、経営状態などがバラバラで、1つにまとめるのは至難の業とみられた。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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