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金融市場異論百出

「最も保守的」とみられ始めた
ドラギECB総裁の深い悩み

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2013年5月14日
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 「われわれはヘリコプターで飛び回りながら、マネーをばらまくことはしていない。米国のような資本市場がここにはない」

 ECBのドラギ総裁は、0.25%の利下げを決めた5月2日の理事会後の記者会見でそう述べた。「米国では信用仲介の80%が資本市場を通じて行われている。欧州では金融仲介の80%が銀行システムを通じて行われている」からである。資本市場の価格形成に介入しても、欧州では効果は得にくいとECBは今は考えている。

 ECBが利下げを決めた理由は、需要の弱さが南欧だけでなく北欧にも波及してきた点にある(1~3月の自動車販売台数前年比は、ドイツが▲13%、オランダは▲30%、フィンランドは▲40%)。

 ECBは現時点では伝統的な銀行の貸し出しを通じたチャネルで経済に働きかけようとしている。しかし、日銀が「異次元緩和策」を4月に決めたことで、為替市場などでは主要国の中央銀行の中でECBが最も保守的だとの見方が増えた。前述の記者会見でも0.25%という小幅利下げでは「too little,too late」であり、FRBのようにもっとリスクを取りながらバランスシートを拡張させる政策を行うべきではないか? といった趣旨の質問が相次いでいた。

 FRBのような政策は制度的にもECBには難しいとドラギは語った。とはいえ、利下げカードの残り枚数は少ない。新たな非伝統的領域に追い込まれる可能性が今後は徐々に高まりそうだ。

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