その結果、空き家が解体され、都市の新陳代謝がどんどん進み、同時に緑が増えて街の魅力も増した。子どもたちは楽しい遊び場を得た。こうした柔軟な政策は日本でも可能かもしれない。

空き家をお年寄りの
ケア付きシェアハウスに

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 高齢社会先進国である日本向きの解決策もある。空き家を改修して、賃貸のお年寄り向け管理人・ケア付きシェアハウスにすることだ。本格的な介護が必要になる前の元気なお年寄りを中心に、少し若い60歳ごろから入居を可能にして、支えあって生活してもらう。シェアハウス内で交流が起き、友達ができて、生活に活気と喜びが生じるだろう。何より、孤独死や孤立の心配がなくなる。離れて住む子ども世代も安心できる。

 こうした住宅の転換は、実は世界でも進んでいる。例えばデンマークでは日本の特別養護老人ホームにあたるプライエムを新設することをやめ、介護型住宅(プライエボーリ)や高齢者住宅(エルダーボーリ)を造るように方向転換した。

 イギリスでは高齢者向け小規模集合住宅(シェルタード・ハウジング)の活用が盛んで、これは一般住宅と入所施設の中間といった感じだ。管理人住み込み型、通い型などがあり、いずれもバリアフリーで、アラーム一つで管理人が飛んでくる。

 このように、一般の住宅を改修して在宅のまま老後を過ごす体制を税制面でも優遇する。日本の技術力、組織力をもってすれば、十分可能だ。しかも深刻な空き家問題を同時解決できる。要は発想の転換である。

 空き家を多数抱えつつ、一方で高齢者施設をバンバンつくるより、ずっと合理的だろう。最近は全国にシェアハウスが増えて若い世代に人気を呼んでいるが、そのシルバー版ができれば、お年寄りだってきっと気に入るはずだと、私は確信している。

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